昭和芸能史 傑物列伝 (文春新書 937)

著者 :
  • 文藝春秋 (2013年9月20日発売)
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感想 : 6
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【箱①】
名演出家の鴨下信一氏がつい先だって亡くなった。

「ふぞろいの林檎たち」「高校教師」といった名作はリアルタイムで見ていて、「岸辺のアルバム」もオープニング映像だけ記憶の片隅に残っている。

過去の著作物を調べてみたら出るわ出るわ。本の世界でも多作の人だったようだ。

本書は、昭和芸能史に残る6名の傑物を取り上げた新書だ。長谷川一夫以外は、何かしらの映像をリアルタイムで見た記憶がある。

まだベンチャーだったろからテレビ界にいた著者だけに、記された芸能史の裏側は生々しい。

伝説となった美空ひばりは「これほど〔いじめられた〕人もいない」という。なんか祖母がそんな話をしていた気もする。

森光子が、「こんなにお母さんに不適格な人はいなかったのにーー」には納得。少年隊の東をおっかけ(?)ていた晩年をよく覚えている。職場の女性陣が当時、その話題で盛り上がっていた。

昔は“博覧強記”のテレビマンが多かったと聞いたことがあるが、鴨下氏にはドラマ・映画のみならず、演劇、古典芸能、歌、お笑い……と幅広い教養が感じられる(仕事でもジャンルを問わず手掛けていたようだ)。

寅さんはアマゾンプライムのおすすめループにはまり、全作みてしまったが、55年体制や60年安保闘争の時代の「日本の本当の姿が活写されている」というから、森繁久彌の「社長シリーズ」も見なきゃと思った次第。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 芸能
感想投稿日 : 2021年3月10日
読了日 : 2021年3月10日
本棚登録日 : 2021年3月10日

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