小説 盛田昭夫学校(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2009年5月15日発売)
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4

ソニー創業期のお話の続き(下巻)。

※小説 盛田昭夫学校(上)
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4062763559#comment

上巻はまさにベンチャーだったのが、
下巻からはベンチャースピリッツは失わないまでも、
中小企業から大企業への仲間入りまでの軌跡を
たどる形になっています。

やはり一番の読みどころは、ウォークマンのくだり。
これまで記事なんかで何となく知っていた
ウォークマンの開発秘話がこうやって一連の流れで
読み返せたのは何とも言えない幸せな気分。
ある程度知っていたとしても、鳥肌物の感動を味わえます。

ちょっと残念なのは、ベータvsVHSの戦いの結末が
省略されているところ。
これはソニーの社史ではなく、盛田氏の伝記だからなのか!?
それでも負け戦も最後まで描き切って欲しかった。
勝ったり、負けたりの繰り返しが企業の存続だったりするので。
とはいえ、上下巻ともに500ページを超える大作。
どこかは分量をカットしないと、、という
プレッシャーはあったのかもとも推察します。

別の視点からもう一つ良かった点は、
主人公の盛田氏の視座の高さというか、
スケールの大きさというか、物事の考え方。
段々年を取ってくると、
守りに入ってきがちになるものだと思うのですが、
盛田氏は全然そんなことがない。
あるべき理想像を掲げて、
それに向かって周囲を鼓舞して、
モチベートして突き進む。
原点はいつも一緒。

古い話ではありますが、改めて視座の上がる本でした。
著者の江波戸さんの企業小説物って、
熱狂するほどの面白さまでは
これまであまり感じたことがなかったような
気がするのですが、この本は良かったです。
読むのが大変だけど、読む価値はある本だと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年10月23日
読了日 : 2023年10月22日
本棚登録日 : 2023年10月8日

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