CHAPPIE/チャッピー アンレイテッド・バージョン  [DVD]

監督 : ニール・ブロムカンプ 
出演 : シャールト・コプリー  デヴ・パテル  ヒュー・ジャックマン  ニンジャ 
  • ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
3.50
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本棚登録 : 219
感想 : 47
3

近未来の南アフリカ・犯罪都市ヨハネスブルクを舞台に人工知能(AI)を搭載したロボット(チャッピー)をめぐるストーリー。

派手に敵を倒して終わりなら並のアクションSF映画で終わっていただろう。
でも監督は「第九地区」のニール・ブロムカンプ。
チャッピーに意識が宿ることで他のAIと違った特異性が生まれるストーリーとなっている。
赤子が言葉を覚え、徐々に環境に適応しながら成長するように、起動したばかりのチャッピーも学習し適応を繰り返す。しかしその生育予想の範囲を超えて、成長したチャッピーがより人らしく見えてくる。これは決して人間に似た動作や仕草のためだけではない。(ちなみにモーションキャプチャでチャッピーを演じているのがシャールト・コプリー)

バッテリーの残量をみて、死への恐怖を口にする。
生みの親であるエンジニアと育ての親のギャングがムーア(ヒュー・ジャックマン)の巨大ロボに襲われたとき、必死に闘おうとする。
終盤では「お前一番悪い奴。でも、チャッピーお前殺さない。許す」。と、ムーアを追い詰めボコボコにしつつも許したこと。

死を怖れる。憎しみより許すことができる。誰かのために闘おうとする。ストーリーで描かれるチャッピーを通して私たちが曖昧に形容する「人間らしさ」という深遠を浮き彫りにする物語構造はお見事。


「第九地区」ほどではないけれど、前作の「エリジウム」の単調さより監督らしさが戻ってきた内容だった。ストーリーや派手なアクションはもちろん、凝ったガジェットデザインは日本のアニメと「ロボコップ」の影響があるとはいえ、相変わらずセンスがいい。
ムーアが操作する巨大ロボが「ロボコップ」のED-209そっくりだったのはちょっと笑ったけど。(クラスター爆弾搭載って、そりゃ治安用じゃなく軍事用だろう。笑)

日本のアニメといえば、意識をロボにインストールするラストの描き方は士郎正宗の「攻殻機動隊」の影響だろうか。ただ、自在に意識(攻殻でいう魂・ゴースト)をロボにインストールすることは永遠の命を手に入れたとも解釈でき、それだとチャッピーに生まれた「人間らしさ」も変化するか消滅するのではないかと思った。そもそも、人間の身体は意識をインストールするためのただの器なのかという疑問もある。


が、こんなに小難しく考える必要はないだろう。アクションや世界観を単純に楽しめばいい。
充分見応えある映画だった。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 映画
感想投稿日 : 2016年4月20日
本棚登録日 : 2016年4月20日

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