第1巻は、満州事変を巡る関東軍の暴走が語られている。陸軍中央においても、中堅将校が勉強会(一夕会など)を通じて派閥を構成し、策謀によって長州閥系幹部を一掃する。政党政治が軍に翻弄され、崩壊していく姿は痛々しい。
永田鉄山の構想はともかく、満州事変の首謀者である石原莞爾は、アメリカが西洋の覇権を獲得し、日本が東洋文明の中心となり「東洋文明の選手権」を獲得した後に「世界最終戦争」が起こり、世界が統一されると考えていたという。しかも、世界最終戦争前に日本の満蒙領有を契機とした「日米持久戦争」が発生し、その戦争経費は満蒙領有により得られる各種税収等で賄えると考えていたという。何て幼稚な構想なんだろう。
全編記録に基づいてドキュメンタリータッチで淡々と語られており、かえって生々しい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本史
- 感想投稿日 : 2015年8月21日
- 読了日 : 2015年8月23日
- 本棚登録日 : 2015年8月21日
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