10年以上前に読了。この人の音楽作品はいくつか聴いていたが、どこか率直さに欠けるというか、肝心なところに来ると明後日の方向を向く様な傾向を感じていた。だが、ピルグリムとレプタイルというアルバムは、前者は不幸を、後者は幸福を真正面から捉えていて、好感が持てた。
この自叙伝は、ミュージシャンの自伝にありがちな暴露的なところはない(あるのだが、とても必然的に感じる)。ギターの演奏に関する記述は恐ろしいほど少ない。本当の達人は自分の芸のことを語らないのだろうか。
私が一番感動したのは以下のフレーズで、これが彼の音楽の本質だったのかも知れない。
「私は、自分にはまともな価値が何もないと考えていたのだ。だから、何年も前に母に捨てられたと思い込んでいた私は、母と同じように、最終的に自分を捨てることになる相手だけを選んでいたのだ。」
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- 感想投稿日 : 2024年4月7日
- 読了日 : 2024年4月7日
- 本棚登録日 : 2024年4月7日
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