よふかしのうた (5) (少年サンデーコミックス)

著者 :
  • 小学館 (2020年10月16日発売)
4.32
  • (27)
  • (20)
  • (9)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 769
感想 : 12
4

色々きな臭くなっているけど、遂にラブコメ始動!?な巻。
ただ楽しいだけの世界なんてない、けどそんな世界でも楽しむことは出来る、そんなことを思った巻でもありました。

◆袋小路の二択
吸血鬼になってどうするか。
人を騙して血を吸うか、我慢して苦しみながら死ぬか。
どちらを選んでもダメっぽい、袋小路の二択ですね。
昔(特にセカイ系)で繰り返されてきた問いですが、本作はさらりと抜け出したように、こういった質問者の恣意性アリアリな問いは、もう強く効果を発揮しない時代なんだなぁと感じました。
個人的には、とても良いことだなぁと思います。

◆ラブコメ発動
遂に来たかー。コウ側で発動すると物語終わっちゃうし、そりゃそうなるかー、うーむ良いものだ。
主人公の回答が最後に行われる物語って、セカイ系(悩んで選べない)とか、昔のラブコメ(寸止め状態で取り巻きのヒロインが延々と増える)とか、まどまぎとか、色々ありました。
けど、本作はまた違った趣なのが良いですね。
主人公の選択を求める話ではなく、心の裡から立ち現れる「好き」という感情にフォーカスしている。
いずれまた「じゃあ、本当に吸血鬼になるの?」というところに辿り着くと思いますが、選ばない状態をキープするより好きな構造だなと思います。

さて本題ですが、吸血鬼になろうとナズナの近くにいることを選んだコウに対し、これまでひょうひょうとした態度を崩さずに来たナズナ。
彼女がついに変わろうとする――。
んですが、実は最初からコウの前で楽しく在ろうとしていた、という話で。
良き良き。
ところで、最初からラブコメだったかはさておき、吸血鬼の人たちは、誰かと関わる時大体楽しそうなのがなんか良いなと思いました。

◆ハツカ
ハツカの在り方って、なんかいかにもな「支配者としての吸血鬼」をデフォルメした感じがして、面白いですね。
古い物語の見方をすると、一種の家族を構築しているようにも見える(なんか家族にトラウマありそうだし)。
支配者としての吸血鬼とその眷属でありつつ、眷属たちが支配者の心を守る砦にもなっているような。
まぁ砦としての機能が発動するのは支配者(ハツカ)が追い詰められた時なので、あまり見たくない展開ですけど。
古い見方だし多分間違っているとは思うのだけど、今後そのあたり掘り下げられることはあるのかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ラブコメ
感想投稿日 : 2023年1月4日
読了日 : 2023年1月4日
本棚登録日 : 2023年1月4日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする