ポリアーキー (岩波文庫)

  • 岩波書店 (2014年10月17日発売)
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民主主義という語は理念としての概念と、実際の国家体制の状態をさす概念と、両方が混然と濫用されているので、著者ダールは実際の国家体制の状態をさす語として「ポリアーキー」という語を活用する。とりあえずの反対概念は「抑圧国家」である。
線分の両端に「ポリアーキー」「抑圧国家」があって、その線分上のどこか中途半端な位置に、現実の諸国家があるという設定。
ダールがポリアーキー(民主化)の程度をしめす尺度として持ってきたのは実に明快で、「公的異議申し立ての体系に参加する資格を与えられた人々の、全人口のなかに占める比率」である。
本書は民主主義イデオロギーをふりかざす啓蒙の書ではなく、あくまでも学問的に、「民主化」の度合いを測る客観的尺度を探っていこうというものだ。なかなか読み応えもあって、良書だったと思う。
それはさておき、この本では第二次大戦後に米国のお膳立てんよって一挙に民主主義国家となった例として日本が挙げられているが、今思うと、それはやっぱり、アメリカ様にお膳立てしてもらったから形だけは民主主義国家になったというに過ぎないのではないか。アメリカ様に追随はするけどもう崇拝はしない気分になった現在、安倍政権によって着々と民主主義は破壊されている。
本書の結論部に、国家が民主化するにあたって影響のある項目が表にまとめられているが、現在の日本を想定してこれを見た限り、残念ながら日本は「抑圧国家」の方に大きく振れているようだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会学・経済学
感想投稿日 : 2015年2月22日
読了日 : 2015年2月22日
本棚登録日 : 2015年2月22日

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