脱・失敗学宣言

著者 :
  • 森北出版 (2021年12月18日発売)
4.25
  • (2)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 27
感想 : 5
5

中尾先生が、この本に書いているように、そういえば最近、「失敗学」ってあまり聞かなくなったな、と思っていた。畑村→中尾で掲げてきた旗印が褪せてきたのか。狡兎死して・・だろうか。それともICT発達によるセンシングとアウトプットのサイクルスピードの爆速化が、ヒトの感覚に頼った「形づくりと分類」「会得」よりも手軽で役に立つ成果を生むようになったからか・・?
ともあれ、本書はエッセイのような体裁を取り、つっかかるところもなく読めてしまうが、中尾先生の長年の「モレスキン・データベース」に蓄えられた小咄も満載で、内容はとてもボリュームがある。理系のヒトでなくても全部読めるだろう。工学者として文系カルチャーには敵対心を吐露しておられるところもあり、コンプライアンス・コンサルで飯を食っているクラスタのヒトにはぜひ読んでほしい。
ところが残念なのは、工学書の棚に刺さっており、Webでの検索タグも工学であろうから、彼らの目にとまることは、ほぼ無い。できれば(森北出版には悪いが)ダイヤモンド社や日経から出版して、多くの読者を獲得してもらいたいところだったが。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 工学・技術
感想投稿日 : 2021年12月31日
読了日 : 2021年12月31日
本棚登録日 : 2021年12月30日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする