何だかこの本を読んだ感想をネットに晒すのは作者と作品への背信行為のような気もする。
幼い頃に石を投げてそれを車に轢かせる遊びをしていたら、主人公の隆司は加減を誤って大きな石を車のフロントガラスにぶつけてドライバーを死なせてしまう。隆司及び一緒に遊んでいた仲間達も共犯扱いされ、いじめられるようになる。隆司は孤立を守ることでそれに耐えた結果、他人と交われない少年となる。事件から十年後、当時の仲間の一人、八尋がラブホテルで死ぬという事件が起きる。「過去に殺される」死の直前に送られてきた八尋からのメール、そして殺害予告。八尋の葬式で再会した同じく当時の仲間、桜香とともに、隆司は八尋の死の真相を探っていく。隆司はその中で過去の罪と向かい合い、その重さを知る。
ガガガで著者が出した過去の三作に比べてタイトルと内容の関連が分かりやすい。主人公のキャラクターが「ペイルライダー」の主人公の変奏または補完のためのキャラクターのように思えた。目を逸らしていたSNSの危険性やおかしさを突かれ、他人と感想を交換することへの疑問を突き付けられて、色々考えさせられた。
ジャンルは青春群像ミステリでもなく、暗黒青春譚でもなく、鼠色のライト文学とでも言うのがいちばんしっくり来る。
「ペイルライダー」の方が好き。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ライトノベル
- 感想投稿日 : 2013年5月27日
- 読了日 : 2013年5月27日
- 本棚登録日 : 2013年5月27日
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