カウントダウン・メルトダウン 上

著者 :
  • 文藝春秋 (2013年1月27日発売)
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本棚登録 : 417
感想 : 41
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件の原発事故に関するドキュメンタリー。色々なことを考えたがせっかくなので忘れぬためにも記述。一つは、今回の事故は防ぎ得ただろうということ。そもそも政府と事業者による運用上のリスク管理が全くできていなかった。正直信じ難い。原発反対運動に揚げ足を取られないようにそうなってしまったようだが。 残念だと思う。そしてそういう状況を招きつつそれを追求できなかった反対運動家にも責任の一端があると思う。二つ目に、官僚及び東電各マネジメントの責任回避行動が酷い。これは上記件の原因の一つでもあると思う。しかし残念ながら「あるある」なケースが多く、日本人、特にエリート層の行動原理そのものとも思えた。彼ら当事者が悪いと言うのではなく、日本人全員が反省しマインド・チェンジしなくてはならないと思う。分かりやすく言うと、東電が悪い悪い言われているが、日本人(私)が愚かなんだと認識しろということだ。三つ目、これまで菅首相が多く批判され、この本でも悪く書かれていた。確かにマネージャーとしての資質の問題はあったと思うしもっと上手くやれる人はいるだろうと思う。が、総じて、当時感じていたよりは管首相含め(民主党の)政治家は的確に機能していたと思った。四つ目に、当時、事故当日から数日にかけて私が得ていた状況認識、ネットから得られていたものにすぎなかったけれど、それが意外にもかなり適切だったということに驚いた。そして日が経つにつれ段々情報が得られなくなっていたようだということがわかった。当初ダダ漏れ、だんだん情報がコントロールされていく過程があったんだと思う(評価は別として)。最後、この本について言うと、筆者の取材力はすばらしいが、一般向けの本にしよう思ったが故か、構成がテーマ仕立てかつ叙情的な記述であり事実を時系列に把握しずらい。まあ報告書じゃなく一般書なので仕方ないといえば仕方ない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年5月21日
読了日 : 2013年3月31日
本棚登録日 : 2019年5月21日

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