交渉力 結果が変わる伝え方・考え方 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所 (2020年3月12日発売)
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感想 : 32
5

なるほど、これは深い!
今まで自分がいかに「交渉」について疎かにしていたかを思い知った。
自分も若い時は営業職だったので、交渉の場には何度もついている。
時には会社の損益に大きく関わる、ギリギリの交渉の経験が無かった訳ではない。
しかしながら、全く「交渉術」について今まで学んでは来なかった。
今思えば、もっともっと上手に交渉を進めることが出来たかもしれない。
本書はものすごく役に立つ。
もちろん営業職に限らずに、自分が管理職になった際も、ものすごく役立つはずだ。
本書にも記載されているが、社内の上長との交渉や、部下から自分が決裁を求められた際の対応についてなど、応用はいくらでも効く。
とにかく1にも2にも「要素分解」だ。
そして「優先順位」。
相手の要望も要素分解&優先順位付け。
これをマトリクス化して、作戦を立てる。
相手と比較して、そもそもこちらに力が足りてない場合は、まずはここからだろう。
力が均衡していたり、そもそも有利だったりすれば、「仮想の利益」も手段として使えるだろう。
今思い返すと自分の交渉は術にもなっていなくて、全部「お願いベース」だったなと思う。
何とも情けない営業職であったか。
まずこれは自分でも意識して実践してみようと思う。
そもそも要素分解が難しそうだ。
やっぱり物事を冷静に一歩引いて、さらに多面的に見て、その上で細かく分解していくという作業は一見簡単そうで相当に難しいだろう。
だからこそ練習を積み重ねていきたい。
しかし改めて不思議に感じるが、なぜ人間とは客観的に自分を見ることができないのだろうか。
他人の粗はすぐに見つかるのに、自分のこととなると見えなくなるのだろうか。
本当に不思議なものである。
本書で度々出てくるトランプ米大統領と北朝鮮金正恩総書記の話。
彼らの「交渉術」の考察も非常に示唆に富んでいる。
一瞬ニュースの中の表面的な部分しか理解していなかったことが、本書の考察を読むと「なるほど」と思う点が多数あった。
それも含めて自分自身がいかに表層して見ていないかということだ。
客観的に多面的に見るという以前に、そもそも「深く考える」という癖をつけなければいけない。
これだけの情報化社会だ。正直言って毎日のニュースを読むだけでも精一杯感はある。
次から次へと飛び込んでくるニュースのリンクを追って、ただただ読むだけである。
それではいけない。やっぱり深く考えないといけない。
益々そういう社会になっていく。
おそらく深く考えられない人は、これから生きていくのが大変になっていくだろう。
この「交渉」一つを上げてもそうだ。
何か物事を勝ち取るために相手と交渉をする訳であるが「●●を寄越せ。ここから一歩も引けない」であったら、それこそ一つも得る物なく決裂してしまうだろう。
相手が譲歩してくれるとしても、交渉は長引くこととなる。
人生は短いのであるから、時間をかけても正直良い事は一つもない。
現実的には「妥協できるポイント」を双方で早めに見つけて、さっさと妥結した方が賢いはずなのだ。
100点ではないが、全くのゼロ回答よりも、得るものがあった方が良いに決まっている。
何点を合格点とするかは自分次第だ。
そんな当たり前のことが、浅い考えの人ほど出来ないのだ。
「生き残りたければ、交渉力を磨け」
まさにこれに尽きると思う。
(2022/1/14)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年1月14日
読了日 : 2022年1月14日
本棚登録日 : 2022年1月14日

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