藁を手に旅に出よう “伝説の人事部長”による「働き方」の教室 (文春e-book)

著者 :
  • 文藝春秋 (2020年9月17日発売)
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感想 : 15
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小説形式で書かれているので、読みやすい。
新入社員サカモトくんは、ごくごく普通の人。
特に将来の大きな夢もなく、第一希望とも言えない会社に入社し、日々紋々としている。
やりたいことを見つけるのは本当に難しい。
そして、それを実行するのはさらに難しい。
このサカモトくんは多くの社会人にそのまま当てはまるのではないだろうか。
そして人事部長の石川さんは、理想的な上司としてサカモトくんの前に現れる。
決して順風満帆の石川さんではなく、自身の経歴もそれなりに苦労の連続だ。
そして新入社員研修、3年目研修で聞かされる石川さんからの寓話を例とした仕事の考え方の話。
これは誰が聞いても為になる話だ。
これからの上司は語って面白いエピソードを必ず用意しておくべきだ。
決して自分の自慢話であってはいけない。
聞く人が楽しめるような、為になるような、そういう内容。
語る力がないと、これからの年輩者は生き残れないのではないだろうか。
そういう意味で、自分も石川さんのような上司を目指さないといけない。
(すでに石川さんの年齢を超えているのだが)
一つの寓話であっても、実は単純ではない。
一般的視点だけで物事を判断するのは本当に危険だ。
その物事を深く考察し、さらに広い視野でも見ながら、次の展開を考える。
寓話の内容というよりも、その思考方法は必ず今後の役に立つはずだ。
若者は本当に藁すらも持っていない。
何も持っていないのに、若さや時間、可能性は沢山持っている。
それが年齢と共にしぼんでいくことに気が付く人は案外少ない。
頭では理解していても、心の底から実感して、対策をする人は決して多くないだろう。
それだけ難しいことなのだ。
人類の歴史は文明的な部分だけでもすでに何千年が経過している。
それなのに、人間の本質部分はなかなか変わらない。
だからこそ、先人の知恵を活かさない手はないし、本当に心してこれらを実践することこそが重要なのだと思う。
周囲の環境はなかなか変えられない。変えられるとすれば、自分自身の行動なのだ。
これからの時代は、年輩者こと生きづらくなるだろう。
だからこそ語る力も必要だし、もう一度でも藁からスタートできるメンタリティも必要だ。
初心に返りたい時に本書を読み感じることもいいだろう。
(2021/11/7)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年11月17日
読了日 : 2021年11月7日
本棚登録日 : 2021年11月17日

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