ライチョウを絶滅から守る!

  • しなのき書房 (2018年9月5日発売)
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感想 : 3
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『二万年〜』の続編とも言うべき、中村浩先生のライチョウ研究本。今回は先生の相棒:小林先生も執筆されている。内容は前作はライチョウの生態と保全について大まかな知識を蓄積できる本であるが、今回は保全の方法やその苦労、世界のライチョウとの比較研究により「日本のライチョウをどのように絶滅から守るべきか」に焦点を当てた本だった。そういった意味でも前作を補完できる内容だったので、とても満足した。特に、雌雄の生存率において雄の方が生存率が高く、何故あぶれ雄ばかりになるのか、人工飼育下のライチョウの死亡率が野生と比べて高いのか、といった疑問がすっと氷解した。また、営巣を探索する、仮設ケージに追い込みする作業は過酷を極め、テレビでこの特集を観たことがあったが、文で読んだ方が相当な苦労と時間がかかっているものと知り大変驚いた。ライチョウの保全には出来る限り、「非人工的で」と臨まれたプロジェクトであるが、ヒトが呼び込んだライチョウの捕食者を除去したり、昆虫食の代用にミルワームを用いたり、温暖化の影響で変化した環境を整えたりするのにはやはり人間の手助けが必要だ。全てヒトが原因であるからだ。自らが招いた今の状況を打破しいきものの命を繋ぐことは、今後のヒトの存続にもかかっている。ライチョウの保全研究が、その大きな枠での地球の保全につながることを願ってやまない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 動物・生物・科学
感想投稿日 : 2022年4月10日
読了日 : 2022年4月10日
本棚登録日 : 2022年4月3日

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