後宮染華伝 黒の罪妃と紫の寵妃 (集英社オレンジ文庫)

  • 集英社 (2020年6月19日発売)
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感想 : 15
5

つ、辛〜〜〜〜…………
舞台が舞台だけに、非常に業の深い内容だった…。
コバルト文庫からの後宮シリーズからオレンジ文庫での刊行に変更になったせいか(あとがきでも書いてあったけど)ラノベ的な嗜好から、かなり架空史記ものの側面が強くなっていた。
そのせいかコバルト文庫時代の、血生臭い世界での男女のイチャイチャラブラブ後宮ライフ♡が鳴りを潜めていた。
コバルト文庫の方だとだいたい「俺の嫁だけど、は?可愛いすぎないか?」「私の旦那がカッコ良すぎて辛い」みたいな砂糖を吐きそうなやりとりが必ずあったのだ…。
あそこが好きだった自分としては少し残念だったけど、これはこれで濃密な権謀術数渦巻く後宮ものとしてとても面白かった。
ヒロインの特技が作中のテーマとして使われるシリーズだけど、今作ヒロイン紫蓮の特技が染物ってこともあり、色んな物事や人物を色彩で例えるのがとても綺麗だったな。

までのシリーズでの主役二人も善人ばかりではなかったけど(特に皇帝とその寵妃の立場にいるキャラは)今作のヒロイン紫蓮とヒーロー隆青はその傾向が強かったように思う。
何度も作中で語られるけど、皇帝は善人には務まらないから………。
でも二人とも善人ではないけど(これは他の小説からの引用だけど)「尊敬できる悪人」だと思う。

立場が違ったら幸せになれるんだろーなーと思いつつ、そう考えて憐れむのは彼らにとって侮辱になるのかしらと思ったり。

色んなしがらみがあるから、手放しで「そうして結ばれた二人はいつまでもいつまでも幸せに暮らしました」とはいかない。

でも、とても美しく、未来を願わずにいられないような読了感だった。

とても面白かった。久しぶりに徹夜で読んじゃったよ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年12月3日
読了日 : 2022年12月3日
本棚登録日 : 2022年11月29日

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