8月17日、ソ連軍上陸す: 最果ての要衝・占守島攻防記

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  • 新潮社 (2008年2月1日発売)
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終戦記念日とされる8月15日よりも後、北の果ての占守島の日本軍守備隊と突如侵攻してきたソ連軍との死闘の記録です。
敗戦の報を聞いて悔し涙を流した15日、一夜明けて「家に帰れるんだ」といった安堵感を感じながら武装解除を進めた翌日、そのような中で突如砲撃とともに上陸してきた国籍不明(戦闘開始時において)の部隊との戦闘への突入。

彼らの奮戦により、時間と戦力を費やすことになったソ連軍は、北海道侵略を諦めざるを得ませんでした。
多くの日本人にとって忘れられた(もしくは認知されていない)戦いであると思います。

池田末男大佐が出撃前に部下に対して行った、「赤穂浪士となって恥を忍んで生き残り将来仇を報ぜんとするか、白虎隊となって日本民族の防波堤として玉砕するか」という問いかけと、それに対して白虎隊としての道を勇み選んだ部下たち。
この姿が忘れられません。

書籍自体については、ちょっと各証言や資料の矛盾点の整理・検証にページを割きすぎている印象はありますので、そのあたりが読みづらく感じてしまう方も多いかと思います。
とはいえ、歴史資料的な観点で見れば、そういった検証部分についても大変貴重なものだと思いますし、かなりの労力を費やされたのでしょう。
占守島での戦いを知る資料としては、よい書籍であると思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史、戦史(戦記)
感想投稿日 : 2011年2月9日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年2月9日

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