新科学対話 上 (岩波文庫 青 906-3)

  • 岩波書店 (1995年10月1日発売)
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感想 : 3
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古典的な本+岩波の固い表現があいまって若干読みにくい。
現代訳で新しく発行されないかな、と思う。

本書は、Galileo Galileiによる本であるが、原著のタイトルを忠実に訳すると「二大世界体系についての対話」となる。
つまり、天動説と地動説との比較である。
ギリシア文明以降、Galileo Galileiまではは地球が宇宙の中心で星は地球の周りをまわっているのだ、という主張が主流であったのは小学校の理科で学んでおり、しかもこの主張は全くでたらめであることは常識となっているけれど、1600年代に、地球を中心に回っておらず地球は太陽の中心をまわっているのだ、ということを認めるにはどうしたらよいだろうか?
マゼランが地球を1周した、というのは1500年中盤なのでそのころから100年もたっていない。
本書は、地動説、天動説、議論をサポートする3人の対話形式で描かれる、計4日の(架空の)対話である。

1日目は地球上の運動について。
地動説に対する反論に、地球が動いているのであればなぜ鳥は飛ぶことができるのか、なぜ回転方向に猛烈な風が吹かないのか、高い塔からボールを落とせば真下ではなく地球が動いた分だけ落下場所がずれるのではないか、という主張がある。
Galileo Galileiはこれについて説明を与えるのが1日目

2日目が惑星の運動について。
地球を固定してほかの惑星を動かそうとするとかなり複雑なモデルになり幾何学を用いて矛盾を与える。
とは言いつつ、これによって地動説と結論は出せないとも言っている。

3日目は惑星の天文現象について。
地球が動いているのであれば、それに伴う現象が観測できるだろう、ということを説明している。
実際には恒星の視差や金星の満ち欠けなどを示している。
(恒星の視差は後年、発見された)

そして最終4日目である。4日目は潮の満ち引きである。
Galileo は潮の満ち引きこそ地球が動いている直接の証拠だと考えたようだ。
(が、我々は地球が動いていなくとも月が周回していれば満ち引きが生じることはわっているけれど)

というように我々からみたら?と思うことも少なくないが、当時の観測や事実から天動説を否定し、地動説を主張した彼の業績は特筆すべきことであるし、その後の天文学の礎を築いたといっても過言ではない歴史的名著としてよいとも思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 科学
感想投稿日 : 2020年3月16日
読了日 : 2020年3月13日
本棚登録日 : 2020年2月26日

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