緑の天幕

  • 新潮社 (2021年12月22日発売)
4.60
  • (3)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 54
感想 : 3
4

今改めてソ連を振り返る。700ページの大作、イリヤ・ミーハ・サーニャの一生をめぐるまさに大河小説。物理的に重くて外出先で読むには苦労したが、読み進めるのは楽しかった。
3人の中で最後まで生き残るサーニャらの台詞「イリヤとオーリャを覚えてる?ひどい終わり方だったよね。ミーハとアリョーナは…もっとひどかった」「みんなソヴィエト政権に殺されたのよ、ひどいことだわ」彼らは反体制活動を行い、監視、逮捕、亡命、拷問や収容所送りが日常にあった。ウリツカヤは「壁にぶつかって割れる卵」(村上春樹エルサレムスピーチ)の側に立つ。
文学や音楽が重要なモチーフとなっており、芸術を愛する人々への共感がある(インテリ層という言い方もあるが)。社会システムに抗う際にはオーウェルの1984を読みソルジェニーツィンを読み、音楽を聞いて心を慰める。ブロツキーにしても私は詩はわからないのだが、パステルナークとトルストイは作家に愛されているようだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外
感想投稿日 : 2022年6月30日
読了日 : 2022年6月27日
本棚登録日 : 2022年1月29日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする