初等量子化学―その計算と理論

著者 :
  • 化学同人 (1988年4月1日発売)
3.50
  • (0)
  • (2)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 18
感想 : 3
4

1年生の時にBOOKOFFで買ったきり、ほとんど手をつけてなかったのだけど、なんとなく始めてみて、第4章まで読んだ。第3章までの内容はどんな量子力学の教科書にも載っていることで、その後は化学寄り。といっても、水素原子くらいはやっておかないとと思って第4章は読んだ。ほんとはもっと後ろのほうまで読みたい。浪人時代にその名を聞いて「かっけえ」と思ったハイトラー=ロンドンの理論にはまだまだ辿り着けない。で、実はこの「初等量子化学」というのは、ハイトラーの邦訳とも同じタイトルなんだなあ。物理屋さんはπとかでてくるとうざいので、?=h/2πとかおいて式を簡単にするのですが、この本は?(エイチバー)を使ってない。のかと思いきや、途中いきなり定義なしで使ってるような。一番後ろには書いてあるのですが。物理の人のための物理の本にはない面白さがある。たとえば1次元井戸型ポテンシャルを解いた後に、ヘキサトリエンなる化合物のモデルとしてこれを適用し、実際に計算し、理論値と実測値を比較してみたり。こいうのは具体的イメイジをつかみやすくて良い。そしてこの章のタイトルは「並進,振動,回転」というものなのだけど、ふつうの量子力学の教科書ではこういうイメイジはやっぱり出てこない。調和振動子とは言っていても何が振動しているのか分かんないでやってるような。我が理学部では物理学科よりも化学科のほうが早く量子力学の講義が始まって、僕は「どうせ化学科の講義は計算ばかりなんだろう」などと思っていたのですが、この本を読んだりするとたしかに計算は多いけど、概念ばっかりの講義でもだめだよなあと痛感する。物理学科の先輩が、「量子力学を学んでもs軌道やp軌道の波動関数の形が描けない人がいる」と嘆くのも分かる。僕もまだ描けないですが。Legendreの陪多項式、球面調和関数、Laguerreの多項式など、難しい数学がいっぱい出ていたのですが、著者のお言葉に甘えて華麗にに読み飛ばしました(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2010年3月21日
読了日 : 2010年3月22日
本棚登録日 : 2010年3月21日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする