面白かったです。前作が結構面白かったので今回も買ってみたのですが、こっちの方が好きかも。
別れを告げた直後に記憶を失くしてしまった男と、記憶を失くしてしまったせいで言葉の意味や真意を最早知る事も出来ず、生きてさえいればいいと探し出して側に置いたものの前に進めなくなってしまった主人公の話。現在から始まって、過去の出会いからの話に戻るのですが流れがいいなーと思いました。前半で別の人間から「攻の死を認めろ」と言われて、受はどうしたらいいか解らずじわじわ追い詰められていくのですが、読みながら認めるってどうすればいいんだろうと。どう越えれば正解なんだろうなと思いながら読んでたのですが、過去から現在に戻った時に、更に別の人間が言った言葉に主人公同様はっとしました。あぁそういう事かと。認められていないから、そもそも憧れたはずの闘牛すら出来ていない。必死で攻が残そうとしたもの、刻んだもの。それをそのままにしてしまっていた。その事に読みながらすっと気づく流れになってるのがうまいなと思いました。
そして中盤の過去話を読む事で、攻がああいう扱いをしてた理由、別れを告げた理由が何かあるんじゃないかと。酷い男ではないんじゃないかと。徐々に明らかになる真実。愛。
後半は切なくてほろりときました。今の攻を好きになっていいのか。残りページ数がかなり少なかったのでドキドキしながら読みました。終わるのか。記憶は戻るのか戻らないのか。どちらでもいいんだよね、と思わせたところで、今度は記憶が戻る事の恐怖。あ、そういうのもあるんだ、とそこも面白かったです。残り少ないけど?と更に気になったけど(笑)最後は少ないページで結構詰まってました。
- 感想投稿日 : 2013年8月20日
- 読了日 : 2013年8月15日
- 本棚登録日 : 2013年8月15日
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