日本百名城 歴史と伝統をあるくガイドブック (朝日文庫)

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  • 朝日新聞社 (2004年10月15日発売)
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日本の代表的な100の城を紹介。 どういう戦略的な要請から築かれたのか、誰が縄張り(設計)をし、どのような運命を辿ったのかという、城にまつわるドラマが簡潔にまとめられている。 カラーでもないし、写真も一枚もない無骨な構成だが、各城の縄張り図があって、防御上の意図を理解するのに役立つ。

城の建設が得意だったのは豊臣系の武将で、織田信長、豊臣秀吉と続く天下制覇の過程で多くの築城や城攻めを経験したことによるものらしい。 特に築城名人として名高かったのが藤堂高虎で、外様大名ながら家康の信任あつく、多くの城を築いた。 徳川系の武将や大名は野戦に才能を発揮した人が多いが、世の中が安定してゆくにつれ、有事の場合の備えや領地の経営のために、築城の必要が生じた。 そこで戦略的要地にはまず豊臣系の大名をあて、堅固な城を築かせた頃を見計らって国替えや改易を突きつけ、その後徳川系の大名を入れるという政策が取られた。

現在まで残る多くの城は、桃山時代の終わりから江戸時代初期に築かれたもの。 これは徳川幕府が出した一国一城令によって、大名の領国につき一つの城を残して破却することになったため、領国経営に便利な城下町の城などが残されたことによるらしい。 しかし戦国時代から安土桃山時代の戦乱の中で活躍した城も、その歴史をたどるのは興味深い。 この本では有名どころだけではなく、知られざる名城なども登場して、城巡りへの興味をかきたてる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本史
感想投稿日 : 2011年4月27日
読了日 : 2008年6月2日
本棚登録日 : 2009年11月2日

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