Xデイ到来 資産はこう守れ!

著者 :
  • 幻冬舎 (2022年8月3日発売)
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感想 : 12

著者は異次元金融緩和に当初からジリ貧から脱しようとして、ドカ貧に墜ちると警告してきた。まさに太平洋戦争敗戦並みの事態が来るのか。バブル経済時は強烈な円高(1984年251円→1990年134円)により消費者物価は上がらなかった。結果的にこれが現在に至る経済の低迷をもたらすこととなった。いま大量にばら撒かれた基軸通貨の回収が始まっている。この衝撃の大きさを日本は過小評価しているようだ。日銀が債務超過に陥れば(この可能性が少なくないことは本書で詳細に理由が記載されている)$1=¥500どころではない。かつて行われた円高阻止の為替介入は自国通貨の円を売るだけだから制限はない。しかし円安阻止の介入は手持ちの外貨準備が原資なので限りがある。しかも外貨準備は多くが米国債。これを売れば米国金利は上がり更にドル高となるし、せっかくの貴重な外貨資産が減少してしまう。そして世界の投資家に日銀は円安阻止の手を打ち尽くしたとみられてしまうから、介入すべきでないという意見だ。しかし、その後の報道によれば6兆円の為替介入が既に行われている。円が暴落したときに、この国最後の砦である170兆円の外貨を早くも無駄遣い。本来は円が大暴落した場合に国民の命を守るため、その資産で食料や石油、医薬品を輸入することに使うべきなのだが…。
矢野財務事務次官が相当の勇気をもって文春に掲載した、国家破綻への警告も当初は少し話題になったが、無かったことにされてしまったようだ。国民の側にも責任がある。欧米は税金が何に使われたか非常に気にする。日本の納税者はそんなことを気にする人は少ない。国のトップも安倍元総理からして「日銀は国の子会社だから国債が60年後満期になれば返さず繰り越せばよい。何の心配もいらない」とこの短文に多くのツッコミを入れられるほどの知識レベルである。日銀黒田総裁からして「金利が上がれば保有国債からの受取金利も上がる」という。保有国債の殆どは固定金利だから、満期まで金利は変わらないし、総裁が知らない訳がない。この発言はバカな国民はこれで騙せるだろうという発言と思われる。
著者の結論としては外貨MMF一択。米国株・債券などは以前推奨していたが、既に高すぎるとして慎重だ。但し、著者はここ数年の米国株急騰の恩恵を受けていないという。なぜなら高すぎるとして全て売却してしまったから。タイミングというのははなかなか難しいという話。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年12月1日
読了日 : 2022年11月16日
本棚登録日 : 2022年8月15日

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