幻月楼奇譚 (2) (キャラコミックス)

著者 :
  • 徳間書店 (2007年8月25日発売)
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感想 : 25
3

老舗高級味噌屋の若旦那「鶴来升一郎さん」は、近所でも有名な「道楽息子」
ひょんな事件で父を亡くし、気が付けば味噌屋の当主となってしまった~

とはいえ…味噌屋の当主となったって「道楽」は辞められない(笑)
今日も今日とて、吉原に繰り出しちゃ~遊び呆けている

そんな「升一郎さん」のご贔屓は…吉原の芸者かと思いきや
なんと「幇間(タイコモチ)」の「与三郎」男でやんす(笑)
物の怪が見えて、怪談話が得意な「与三郎」の尻を追い掛け回す若旦那
二人の逢うところには何故か怪事件が起こり、どうにも進展しない二人の仲(笑)

さてさて、今宵はどんな怪に遭遇するやら…

第一話は「愛のボタンの掛け違い」ってなお話でしょうか
看病していた姑が死に、心ない親戚の物言いに耐え切れず家を飛び出した女や
父親の過去にしばられ一緒になれず、病気で死んでしまった娘ごのお話でございます~

どちらも口数の少なさから端を発しておりますが
なんでも思ったことを口にだせたら、そりゃ人間じゃありません
言いたいことが言えない心理、そんな所に情緒というもんが生まれるもんだと思います

第二話は「げに恐ろしきは人なり」ってなお話でしょうね
芸者を集め楽しげに開催した花見の宴で、深川芸者の「勝於」が殺された
いやはや花見どころの話じゃなくなってしまったのはともかく
多額の請求書だけは「升一郎」の元へ送られて来た
主催者は老舗の「中村屋さん」だったのに、あの花見の一件から姿を隠している
なんとしてでも、中村屋さんを探して支払いをしてもらわねば…
結局、事件を解決しなければならない立場になってしまったのであった~(笑)

情が濃すぎて起こった事件が後の世で怪談となり
欲が深すぎて起こった事件が殺人事件となる。どちらも端は人。
人にくらべりゃ、妖しなんぞ、可愛いもんでございます(笑)

第三話は「ガキの頃からの付き合いは…」ってなお話
人ってもんは、いつまでも昔のままではいられません。
いつの間にやら、世間の垢にまみれ、友までも裏切る。
ちょいとおセンチな話なんですがね、肝心の「升一郎さん」が変わってないもんで
なんだか可笑しいお話となってますの~(ハハハハハ)

やっぱりお金の貸し借りってヤツが人間関係をダメにしますね
貸すのなら返してもらわなくてもイイ金額。これにつきます。
友達が友達面に変化する時って、いつなんでしょうね~

第四話は「ちょいとイジワルしたくなる時」って話でやんしょね
鉄屋三代目の「道楽者」と出会い意気投合した「升一郎さん」
でも…なんだかやっぱり事件の匂いが…

昔付き合っていた男が幸せを掴むと聞いた時、その心持ちは複雑怪奇となります
自分が幸せなら「良かったね~」と言えるのですが
そんなに幸せな状態でないのなら「ちょっとイジワル」したくなるもんです(笑)
そのちょっとが、ドミノを一個倒しただけで、後に全てが倒れ現れるような
そんなお話でございました~

どの作品も、よ~く考えられた良い作品なんですが…
今市子さんの描く「人」って…どんどん似てくるんですよ。顔が…
出演者の顔が区別つかなくなることが数回で、ちょっと難儀しましたの~(笑)
それを差っぴいても面白いお話しばかりなので、楽しいんですけどね(ハハハハ)
次回は何時発売されるのか…この作品も年に1巻ペースでしょうか
こんなペースで描いているから、作者も出演者の顔が混じるんでやんしょかね(笑)

次回作も楽しみにしてますんで、一つ、よろしくお願いします(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画 作家あ行
感想投稿日 : 2010年9月10日
読了日 : 2010年5月20日
本棚登録日 : 2010年5月20日

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