ネコババのいる町で (文春文庫 た 32-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (1993年3月10日発売)
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本棚登録 : 78
感想 : 10
4

母親に荷物のように放り出され、失語症になるほどのダメージ受ける。
けれどそれを悲劇的に嘆き続けるでもなく、かといって肩を怒らせて突き進むでもなく、
そのまま日常の中に取り込みつつ成長してゆく。
まだ小さくてそうするしかなかったかな。

戸惑う祖母や叔母の繕わない言葉は、時に辛辣である意味正直。
そんなふたりと、気づかぬうちに徐々に築かれてきたのであろうつながりが最期のシーンからもじんわり。

全体に落ち着いた文章で、先に向かう余韻を感じながら読み終えました。

他2編。
「神の落とし子」ではちょっとした仕草の色っぽい表現が印象的。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(日本)
感想投稿日 : 2012年7月2日
読了日 : 2012年7月2日
本棚登録日 : 2012年7月2日

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コメント 5件

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2012/07/02

「徐々に築かれてきたのであろうつながり」
この1フレーズがあるだけで惹かれます。。。
瀧澤美恵子は全く読んだコトがないのですが、タイトルが「ネコ」と言うだけで読んでみたくなります(正確にはネコじゃなくネコババですが)。

pponさんのコメント
2012/07/03

nyancomaruさん
決してほっこり暖かさに満ち満ちた関係、ではないのですが、主人公の言葉の端々に積み重ねられてきた時間の中でできた二人への思いのようなものを感じました。
「ネコババ」というタイトルに「ん?」と選んだのですが、ちょっとイメージとは違ってました(笑)
主人公にとっては大切な場所ですが、そんなに多くは出てきません。

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2012/07/03

「ちょっとイメージとは違ってました」
おばあさん猫じゃなくて、慣用句のネコババですよね。と思ったけど「主人公にとっては大切な場所」、、、場所かぁ~何だろう。。。

pponさんのコメント
2012/07/04

nyancomaruさん
どこまで言っていいのかなぁ。。。
猫を飼っている隣のオバさんです。
…言っちゃった!(笑)

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2012/07/04

「…言っちゃった!(笑) 」
ありがとうございます。興味倍増です!!

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