カウンター席だけのバーで三人の客が歴史談義に花を咲かせる。三谷教授と美貌の助手の早乙女静香、そして自称歴史家の宮田六郎。バーテンの松永がワトソン役となり、ブッダの悟りや邪馬台国の場所、聖徳太子の正体、信長の最後の謎、江戸城無血開城の黒幕、キリストの正体と、世界の歴史について意見を戦わせる。歴史ミステリと言うよりはコージーミステリだが、宮田のアクロバティックな歴史解釈に唖然とする一同が楽しい。

2020年1月3日

読書状況 読み終わった [2020年1月3日]

一気読みしたが、犯人は最後までわからなかった。ほとんど全編が殺人者の日記とメイドのジニーの日記で語られる。この日記からして怪しいのだが、素直に騙される快感に浸りたい方にはお勧めの一冊なのだが、日記形式を冗長と思ってしまうと読書もはかどらないかもしれない。

主人公のジニーはどうやら強盗の罪を犯して逃げているらしく、しかも重度のアルコール依存症のようだ。この信頼できない語り手のジニーが働く家で見つけた手記は、過去に何度も殺人を犯しながら捕まっていない殺人者の書いたものらしく、しかもその殺人者はどうやらメイドが働く家の四人の息子の中にいるらしい。

途中から犯人とメイドの交換日記(笑)形式という斬新な構成になって否が応でもサスペンスが高まる。終盤は思わず孤軍奮闘するジニーに声援を送ってしまう。最後まで読者に考える余裕を与えず飽きさせないように読ませて、結末を知ると見事に騙されたなと思わせられる。

アメリカが舞台の話なのだが著者はフランス人。最近知って近刊なのかと思っていたが、実はもう二十年以上前に発行された小説だった。しかもこの著者の書いた本は続々と訳されているらしいので、探して読んでみたい。

2019年12月20日

読書状況 読み終わった [2019年12月20日]

ハヤカワSF文庫5『緑の星のオデッセイ』を二ヶ月ちょっとかけて読了。1957年フィリップ・ホセ・ファーマー作の西部劇風SF。矢野徹訳。主人公アラン・グリーンは地球人だが肉体改造を受けており、傷はすぐ治ってしまう。彼が不時着した緑の星で冒険するお話。バローズタイプのヒーローよりは人間的。

2019年9月4日

読書状況 読み終わった [2019年9月4日]
カテゴリ SF

読書状況 読み終わった [2019年5月19日]
読書状況 読み終わった [2018年11月8日]
読書状況 読み終わった [2018年6月20日]
読書状況 読み終わった [2018年6月7日]
読書状況 読み終わった [2018年6月3日]
読書状況 読み終わった [2018年5月28日]

読書状況 読み終わった [2017年12月31日]

神戸がタイトルに入った西村京太郎作の小説は少なくとも5作を確認しているが、1995年の兵庫県南部地震によって引き起こされた阪神・淡路大震災に関するものが2作ある。その一つである『神戸・愛と殺意の街』を読了した。

「神戸の悪党」と名乗る脅迫状が大企業に送られるが、それはフェイクで、警察が翻弄されている隙に銀行の現金輸送車が襲撃され、一億五千万円が強奪された。

犯人当ての動機当てのミステリーではなく、「神戸の悪党」の犯罪と自滅の過程を描くピカレスクなサスペンス小説だ。

大震災で神戸の市街地は壊滅的な被害を受けたが、日本の靴の一大産地である長田区は全焼面積が神戸市全体の64%と甚大なもので、復興にも長い時間がかかった。長田区の人口が震災前と後で三万人も減ってしまったことを見ても、被害が尋常でなかったことがわかる。

長田区の特産品ケミカルシューズは「神戸シューズ」のブランドで今も人気だが、中小の工場の中には震災から立ち直ることが出来ないままとなったところもあると聞く。この小説では、犯人目的は強奪した金でケミカルシューズの工場を建てることだった。

なぜケミカルシューズの工場に拘るのか、その動機の弱さは致命的なのだが、西村流のストーリー展開でなぜか納得してしまうのは不思議だ。

今年も大震災の鎮魂の思いを込めた神戸ルミナリエが開催された。震災を風化させないようにこれからも続けて欲しい。

2017年12月19日

読書状況 読み終わった [2017年12月19日]

ミステリーのガイドブックには必ずと言っていいほど取り上げられている名作を1961年版でようやく読んだ。

さすがに名作と呼ばれるだけある。だが、名作なのは本編ではなく「私は20歳の娘、億万長者の相続人です。私がこれから物語る事件は、巧妙にしくまれた殺人事件です。私は事件の探偵です。また証人です。また被害者です。そのうえ犯人なのです。いったい私は何者でしょう? 1人4役を演じる女主人公という空前のトリックで展開する62年度の話題をさらった世界的な問題作。シンデレラの罠は、はたしてどこにあったのか?」という扉の内容紹介だ。この文を書いた編集者こそ賞賛されてしかるべきだろう。

とにかく翻訳が酷く読むに耐えない。誤訳があるのかどうかはわからないが、ところどころ意味が取れないところがある。しかも日本語としてもこなれた文章に仕上がっていないのだ。

もしかするとわざとわかりにくくしているのかとも思ったが、そうでもないらしい。訳者は創元でも何冊も訳書がある大学の教授だったので、もしかすると学生にバイトで訳させたのではないか?と穿った見方をしてしまう。

それでも読破した。そこに待っていた結果は全てが解明された後のカタルシスではなかった。えっ、結局「私」は◯なの?それでいいの?伏線未回収とか叙述トリックとか、そんなもんじゃなかったの?単純な謎解きをしようとしただけ?ジャプリゾは借金返すために頑張ってひと月で勢い付けて書いたの?辻褄なんかどうでもいいの?そんな高尚な狙いなんてないの?

実は知らなかったのだが、2012年に新訳版が出ているとのことだった。私が読んだのは旧訳版だったのだ。気にかかるので、新訳の新刊書を買った。旧訳はまんだらけで108円で手に入れたものだったのに、逆に高く付いた。

『シンデレラの罠』新旧を比べながら読んだ。驚くべきことに、新訳の訳者あとがきで「たしかに旧訳版の『シンデレラの罠』には、首をかしげたくなる部分も少なくなかったが、それらはすべて翻訳上の問題だった」との勇気ある記述を見つけた。

旧訳版でもやもやが消えなかった人がいたとしたら、新訳を読んで一挙に解決する可能性がある。私なんか今読んだばかりで新旧を比較できるが、旧訳版は1961年に初版なので、2012年に新訳版が出るまで50年以上ももやもやしていた方がいたかもしれないと思うと、何て創元は罪作りなことを、とも思う。色々事情はあったのだろうが、50年の間にどこかで改訳できなかったものなのか。

とりあえずは新訳版ですっきりとしたかな?と思う。このあとがきが旧訳の問題箇所をちゃんと指摘してくれている。中には旧訳版と新訳版で正反対の意味に解釈できる箇所もあるし、肝心の動機が語られる箇所も旧訳版では上手く訳されていなかったことがわかった。

例えば、旧訳版では、
「「あんたはいま、なにと組み合わされているか、わかってるのかい?」「火事でしょう」と、ミッキーはいった。彼女は陽気そうでなく笑って、エンジンをかけた。」となっている箇所が、新訳版では、
「「わかってるのか?ただの遊びじゃすまないかもしれないんだぜ」「そうね、火遊びだもの」ミッキーはそう答えると、一瞬、力なく笑って、エンジンをかけた。」
だ。

何なのだろうか、この差は?プロアマレベルの差じゃないか。自分としてはますます旧訳版学生バイト論に傾きそうだ。とにかく勇気ある新訳版の訳者と今の創元の編集者に乾杯。

但し、訳者あとがきの後半は蛇足ではないか?

『シンデレラの罠』は映画化されているのに、フランスでもソフト化されていないようで残念。リメイクもされたらしいけど。

2017年10月22日

読書状況 読み終わった [2017年10月22日]

米国の大物女流作家ヘレン・マクロイが創造した素人探偵ベイジル・ウィリング博士は、ニューヨーク州検察庁の嘱託精神科医です。ウィリング博士が登場するシリーズは全13作ありますが、1作を除いて全て邦訳されています。この『暗い鏡の中に』は初訳はハヤカワのポケミス時代に出ており、創元推理文庫版は新訳となります。

全寮制の女子寄宿学校ブレアトンの美術教師フォスティーナ・クレインは理由も告げられずに解雇されます。まだブレアトンに来て半年も経たないというのに。同僚のギゼラは恋人のベイジル・ウィリング博士に話します。ウィリング博士はギゼラのためか、自身の好奇心のためか、独自の捜査を始めます。

この作品は幻想推理の傑作という評判が高いようですが、怪異現象の謎も含めてほぼ完璧な謎解きをウィリング博士が披露しており、幻想推理というのは違和感があります。

但し、容疑者がウィリング博士の謎解きを一切認めないという意表を突いた展開になっており、そのため結末が尻切れとんぼのように思えて、あたかも超自然的解釈もあり得ると読者に思わせるようになってます。

『暗い鏡の中に』は自作の短編を長編化した作品ですが、元の短編とはラストが違っているとのこと。短編の方も読んでみたいと思います。

2017年10月7日

読書状況 読み終わった [2017年10月7日]

太田蘭三氏の「顔のない刑事」シリーズ第7作とのことだが、初版が1989年と未だ携帯電話もネットも普及していない時代のお話。

東京駅新幹線ホームで白昼マシンガンの乱射事件が起きる。死亡したのは暴力団の組員と舞台女優の伊衆院朋子だった。

朋子と関係のあった警視庁の特捜刑事・香月功は捜査を開始し、朋子の兄で画商の寛治が、ユトリロの絵画と共に失踪している事実を摑む。しかも絵画は暴力団が売りさばくことを寛治に依頼したものだった。

この香月が「顔のない刑事」なのだが、では目立たない男なのかと言えば真逆である。なにしろ顔に刃物の傷があるは、小指が一本ないは、おまけに背中には昇り竜の刺青が入っているというとんでもない男。

この香月はモテまくる。朋子を始め、捜査で行ったヤクザの情婦とも、監視のために借りた酒屋の娘とも、寛治の元内縁の妻とも関係を持つ。羨ましい限りである。

一応犯人探しもちゃんとあるミステリーだが、それはおまけであくまでも自分がなろうとしてもなれない香月の活躍を楽しむ小説だ。

名画を扱った小説は好きなのだが、このお話ではユトリロでなくても、それこそツボでも軸でもなんでも良い。名画ミステリーとは呼べないが、まあまあ面白かった。

2017年10月4日

読書状況 読み終わった [2017年10月4日]


<center><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4042961010/ref=as_li_qf_sp_asin_il?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4042961010&linkCode=as2&tag=profmoriarty2-22"><img border="0" src="http://ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&ASIN=4042961010&Format=_SL250_&ID=AsinImage&MarketPlace=JP&ServiceVersion=20070822&WS=1&tag=profmoriarty2-22" ></a><img src="http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=profmoriarty2-22&l=as2&o=9&a=4042961010" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />JP</center>

<blockquote>ビアスの失踪という米文学史上最大のミステリを題材に不気味なファンタジーを創造、エドガー賞に輝いた「壜の中の手記」、無人島で発見された奇怪な白骨に秘められた哀しくも恐ろしい愛の物語「豚の島の女王」など途方もない奇想とねじれたユーモアに満ちた語り/騙りの天才カーシュの異色短篇集。「凍れる美女」「壁のない部屋で」の新訳2篇、「狂える花」ロング・ヴァージョンを収録した新編集版。 (内容紹介より)</blockquote>

 2002年に出た同題の晶文社ミステリの一冊の文庫版ですが、晶文社版には収録されていなかった「凍れる美女」、「壁のない部屋で」と「狂える花」の加筆版が収録されています。翻訳は西崎憲さん、駒月雅子さん、吉村満美子さん、若島正さんのベテラン四名が競っている。

「豚の島の女王」
「黄金の河」
「ねじくれた骨」
「凍れる美女」
「骨のない人間」
「壜の中の手記」
「ブライトンの怪物」
「破滅の種子」
「壁のない部屋で」
「時計収集家の王」
「狂える花」
「死こそわが同志」

2017年9月7日

読書状況 読み終わった [2017年9月7日]

フィルム・ノワールには『呪いの血』のような悪女やファム・ファタル(運命の女)が付き物ですが、当時のユニバーサル怪奇映画の中でもフィルム・ノワール的な作りのものがあります。

ロン・チャニー主演の『夜の悪魔』などはまさにその典型で、怪奇映画の衣を纏ったフィルム・ノワールと言えます。なにしろ監督が後に『幻の女』や『らせん階段』、『裏切りの街角』と言ったフィルム・ノワールの名作を連発するロバート・シオドマクです。

お話は不死を望むアメリカ女がハンガリーで誘惑したドラキュラをアメリカに呼びます。呼ばれて嬉しそうにやって来たドラキュラは恋人の銃弾に倒れたアメリカ女をすかさず不死者にしてしまいます。ところが、それは女の策略で・・・。

このアメリカ女を演じるルイーズ・オールブリットンがフィルム・ノワールの悪女そのもの。自分中心で吸血鬼と結婚するわ、邪魔になったらお払い箱にするわ、恋人も引き込もうとするわ・・・。

フィルム・ノワールもクラシックな怪奇映画も共に当時の最大の娯楽。観客を楽しませることにかけては天才的です。

2017年9月6日

読書状況 読み終わった [2017年9月6日]

十津川警部ものの中でも、おそらく異色な部類のミステリー。神戸をテーマにしているので読んでみた。

リッチな神戸ツアーに参加した中年夫婦が失踪する。そして、夫婦は東京の廃校で半径25メートルの円内で「処刑」される。十津川は阪神淡路大震災時の復讐ではないかと睨むが。

伏線もわかりやすくて、犯人は比較的簡単に当てることができる。犯人が大金持ちでラストがケレン味のある展開となり、二時間ドラマならば特撮も必要だ。

但し、この小説の特異な点は、そこではない。出版が2011年2月なのだが、まるで翌月に起こった地震を予言していたかのようなシーンが登場する。

傑作でも名作でもなく、後味も悪い小説だが、この本が出版されたタイミングで買った人は、東日本大震災の日にこの本を読んでいたとしたら、強烈に印象に残る一編となっただろう。

2017年8月29日

読書状況 読み終わった [2017年8月29日]

創元で『地球の静止する日 SF映画原作傑作選』や『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』等の魅力的なアンソロジーを連発している中村融さん編纂のホラー系短編集。

収録作はジョゼフ・ペイン・ブレナン『沼の怪』、デイヴィッド・H・ケラー『妖虫』、P・スカイラー・ミラー『アウター砂州(ショール)に打ちあげられたもの』、シオドア・スタージョン『それ』、フランク・ベルナップ・ロング『千の脚を持つ男』、アヴラム・デイヴィッドスン『アパートの住人』、ジョン・コリア『船から落ちた男』の7編の米国作家による怪物譚と、R・チェットウィンド=ヘイズ『獲物を求めて』、ジョン・ウィンダム『お人好し』、キース・ロバーツ『スカーレット・レイディ』の英国作家による3編の全10篇。その内5編が本邦初訳で、既訳のあるものも全て新訳で収録されている。

怪物ホラーがテーマなので、それぞれ特色あるモンスターが登場し、それなりに怖い。『沼の怪』は海からやって来た不定形生物と人類との戦いを描く。『絶対の危機』のブロブや『カルティキ』の仲間かもしれない。

『妖虫』は地下を掘り進む大怪物が孤独な老人の住む粉挽き小屋を襲う。これまた『トレマーズ』の元ネタのような作品。

『アウター砂州(ショール)に打ちあげられたもの』は読んでいてその情景がまざまざと脳裏に浮かぶ映画のような作品。このアンソロジーの中ではウルトラQのテイストに一番近いが、クトゥルー神話の一編としても読める。

『それ』は生きた腐葉土というリビング・デッドのパロディなのか、あるいは溶解人間系なのか、とにかく怪物主観の描写もあって、それが無垢のまま殺戮を続ける怖さ。

表題作は怪作揃いのこのアンソロジー中でも飛び抜けた怪作。マッド・サイエンティストの自己変身ものだが、ジキルとハイドのようなお話ではなく、B級映画そのままの奇怪な怪物への変身譚となっている。

『アパートの住人』は一種の魔女もの。ちょっと落ちがわかりにくい。

『船から落ちた男』は大海蛇を探して航海する繊細な大金持ちの冒険談。ワクワクする航海もガサツな男が乗り込んで来たことで変調を来すが・・・。オチは笑える。

『獲物を求めて』は闇そのもののような怪物に襲われるお話。オチを先に書いたのか?

『お人好し』はブラックなファンタジー。夫が捕らえた蜘蛛はギリシア神話のアラクネだった。宝石に目がない妻は蜘蛛の提案する入れ替わりを受け入れるが・・・。

『スカーレット・レイディ』は赤いクラシックカーを買った男の周辺に怪事件が頻発する自動車怪談。キングの『クリスティーン』は明らかに影響を受けているだろう。かなりサスペンスフルな一編で、読むのをやめられない。ラストは意味深で、もしかすると一番影響を受けていたのは・・・とも思える。

至福の十編。第二集が出ないものだろうか。

2017年7月18日

読書状況 読み終わった [2017年7月18日]

千姫の末裔との触れ込みでテレビの鑑定番組に打掛を出品した姫路の美女、本多あかり。この番組への出演をきっかけに、注目を浴びた彼女に接近した者たちが次々と惨殺される。

姫路が舞台になっている訳ではなく、単に千姫が一時姫路城に住んでいたという理由で謎の美女も姫路在住なのだ。

犯人探しではなく、動機探しのミステリーだが、ほとんどファムファタル的な謎の美女本多あかりで最後まで読ませる一冊。読者の予想通りの結末も待っている。

2017年7月10日

読書状況 読み終わった [2017年7月10日]
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