メジルシ

著者 :
  • 講談社 (2008年5月16日発売)
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本棚登録 : 135
感想 : 27
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 「ハーフ」に続き、草野作品は2作目。まぁ、「ハーフ」の隣に並んでいたので、ついでに借りただけなのですが・・・

 主人公の視点から、自分の両親の様子をとらえ、自問している点は「ハーフ」と同じですね。ただ、主人公が中学生である分、意識してなのか「ハーフ」よりも漢字の使用量が増えています。
 主人公が、あえて「子どもらしく」振舞う点もハーフと同じかな。

 けれども、たった3歳しか違わないのに、「ハーフ」の主人公よりも「メジルシ」の主人公の方が弱く、繊細です。これは「ハーフ」のレビューで書いた、「子どもは強く、大人は弱い」という描かれ方と通じるかな、と思います。一方で、思春期における3歳というのはなかなか大きく、「メジルシ」の主人公は、家族の抱える問題(それから、自己のもやもや)を解決するために、自ら直接両親に尋ねる強さを持っています。
 2つの作品を読み比べると、「人間は、歳を経るごとに弱く・繊細になる。一方で、それを克服するために行動力や一般的に処世術と呼ばれる技術、勇気を獲得していくのだ。」というような思いを感じさせられました。

 「強くあらねば」と思うと共に、それが「焦り」であると気づかされる作品です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 児童書
感想投稿日 : 2011年5月28日
読了日 : 2011年5月27日
本棚登録日 : 2011年5月28日

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