本書の著者Patricia Polacco氏の実話にもとづくお話らしい。
TrishaことPatriciaは、ディスレクシアなのかな?なかなか文字をつなげて読めない彼女は学校でバカにされ、転校先ではEricという男の子にいじめられもする。
が、Falker先生が根気よく励ましながら読み方を教えてくれる。そのおかげで、単語から文へ、文から段落へと、少しずつ意味を理解できるようになりました、という内容。
下手をすると教師によるありがた迷惑にもなりかねない出来事だ。なぜならディスレクシアという呪いを与えたのも学校だから。なぜそこまで読めというのか、という恨みに変わってもおかしくはない。
しかしなにより、Trishaが読めるようになりたいと強く望んでいる。だからこそ本書はいっそう胸にじんとくる。
祖父母の存在が大きい。
祖父は本に蜂蜜を垂らして味わわせ、
知識は甘い。知識はこの甘い蜂蜜をつくる蜂みたいなものなんだ。
と幼いTrishaに言う。
祖母はTrishaと星空を見上げながら言う。
星々は空にあいた穴だ。それは裏側からやってくる天国の光。いつか自分は、その光がやってくる”向こう側”へ行く。私たちみんながいつかあそこへ行く。草にしがみついてないと、地面から離れてあっちへ行っちゃうよ!
こうした肥沃な感性の土壌がすでに、Trishaの存在を支え、世界への好奇心を準備している。ここにいちばんグッときた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
絵本
- 感想投稿日 : 2022年5月27日
- 読了日 : 2022年5月27日
- 本棚登録日 : 2022年5月27日
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