非正規クライシス

  • 朝日新聞出版 (2017年11月20日発売)
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非正規雇用者の実態が知れた。
2017年出版と比較的新しく、データも信ぴょう性に富む。
P32
ロストジェネレーションと呼ばれる、1970年〜1982年頃に社会に出た年代の者は、当時の厳しい経済状況のため、非正規として働くことを余儀なくされた世代だ。
正社員への転換も日本の雇用慣行の壁に阻まれて難しく、非正規雇用のまま年齢を重ねているという。

非正規労働者の割合は
2003年に初めて3割となった後、13年後の2016年には37.5%まで増えた。
労働者数は2,000万人を超えるという。
非正規大国 日本の現状。
働けども年齢のフィルターで正社員への道を阻まれ、非正規労働者としてありつづけなければならない苦しい実態だ。

30〜44歳までをミドル世代というが、非正規労働者を長く続けてきたその年代に共通する事項がある。

正社員としての教育を受けていないため、職場で自分の考えを述べたり、部署でアイデアを検討したりする機会がほとんど無く、コミュニケーション能力に欠ける傾向がある。

また、与えられた仕事をこなす業務が長いため主体性に乏しく、一般的な社会人としてのマナーも持ち合わせていないケースが多いという。

こうした正社員としての経験の乏しさが、正社員になる道を更に狭くしていると。

確かに。
工場での単純労働ではオフィスマナーや正規職員としての教育も受ける機会は少ないと思われる。

他にも、学校や図書館、役所などでの非正規雇用が進み、サービスの低下や正職員との賃金格差が拡大している実態も窺えた。

1度就職に失敗してしまうと、這い上がれるか否かは年齢による差異が大きいのだな。
定年後のパートですら70歳では貢献の見込みがないと見なされ面接で落ちることもあるようだし、年金が少ないのに仕事が出来ないこの矛盾、日本の社会構造はすぐには改善できないだろうな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年3月27日
読了日 : 2024年3月27日
本棚登録日 : 2024年3月27日

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