先日、ブクログでいただいたコメントがきっかけで、最近清志郎さんの作品に多く触れていて、本作もその流れで読んだ一冊。
少しずつ読み進めていたが、今日病院の待合室で読み終えた。
自分の両腕だけで食べていこうって人が、そう簡単に反省しちゃいけない
オビのこの一言でまず心をわしづかみにされてしまう。
解説で津村記久子さんも述べているが、本書は現実的で誠実な仕事の本だ。
そして表紙の、少しさびしげ(自分にはそう見える)に微笑む清志郎さんの笑顔。
本当に優しい方だったのだと思う。
なにしろ、ロックで「成功」するのではなく「独立」する方法について書いているのが彼らしい。
ロックで売れることではなく、ロックで生きていくということを彼は伝えたいのだと感じた。
「アーティスト」でも「ミュージシャン」でもなく「バンドマン」であることにこだわり続けた清志郎さん。
独立するということと、バンドのメンバーであること、一見矛盾するかもしれないが、彼はハマっているという自転車のツーリングに例え、こう述べている。
あの頃も「もうメジャーになったんだから、これ以上頑張んなくていいや」って独りなら思ったかもしれない。(中略)あれは独りじゃ絶対できない。(中略)独りでやることと「独立」は違う。互いに「独立」してる仲間がいること──それが最高なのさ。
清志郎さんの『ラクに行こうぜ』という曲がある。
確か、以前何かのCMでも使われていたと思う。
幸せになりたいけど 頑張りたくない
というサビが、良識派?には怒られてしまいそうだが、笑えるし、そう歌えてしまうのが彼らしくてかっこいい。
自分は今、生き方であるとか、そういったこと諸々で非常に閉塞感を抱いているが、そういうときに清志郎さんの歌を口ずさんでみたくなる。
悩みがたちどころに解決するであるとかそういうことではないが、悲しいとき、寂しいときに寄り添ってくれる歌をいくつも歌ってきた、そんな人であると思う。
- 感想投稿日 : 2020年2月15日
- 本棚登録日 : 2020年1月16日
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