ネタバレ 暗雲立ち込めていた戦乱の兆しが現実化。絶対的物量に劣り、地の利のないイスラ側は、飛空士養成学校の学生までも動員して戦いに臨まなければならない。感傷過剰気味の心象描写に対して、冷徹(冷酷とも)な筆致で戦争で死にゆく少年たちを暴き出す。精一杯努力し、また、仲間を思う気持ちは人一倍であるにも関わらず、また、人間的に優れた少年でも、心の弱さを克服した少年であろうとも、物量・技量・機体性能の何れもが劣る学生機群は、情け容赦なく、そして無為に撃墜されていく。それを目のあたりにしつつ、己の死の恐怖にカルエルは直面する。
友の死、あるいは友人未満の戦友の死を通じ、表面上に見えていること以外の事柄に目が向けられるようになったカルエルは、心の傷を負いながらも、他者の有りように心を配れるようなるのだ。余りにも多大な犠牲と悲哀をみちづれにして…。PS.ファナ・レヴァームとは彼女だよね。そして、海猫とは、彼だよね…。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2017年1月22日
- 読了日 : 2017年1月22日
- 本棚登録日 : 2017年1月22日
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