2006年(底本1980年)刊。17C以降の、主に欧州内戦役での補給・兵站の技術的・軍略的変遷を解説し、戦争(特に戦術面)での補給の意義と、戦略・政略面への影響を検討する書。著者のモルトケ批判、クラウセヴィッツ批判が舌鋒鋭く、戦史分析に新たな光を当てた点は良だが、これほど多数の頁を費やしたにも拘らず、著者の出した結論は実に身も蓋もない。また、工兵能力(補給基地や飛行場の設営能力、鉄道敷設能力)には余り触れず。太平洋戦争における米軍のそれ(が、米軍の補給も限界近くだったらしいが)から見て、この欠落は痛い。
結局、補給についても相対的なもの(日米対比)、状況依存(交戦能力の高低、時期にも依存。戦場と本国や基地との遠近)なのかなぁ、とも。さらに、朝鮮戦争やベトナム戦争などに触れないのは問題のようにも(後者は刊行時期からして無理かもしれないが)。
読書状況:読み終わった
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ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2017年1月21日
- 読了日 : 2017年1月21日
- 本棚登録日 : 2017年1月21日
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