坂部恵の流麗な文体が際立つ。関係節を多く持ちながら、それでいてつかえることなく読み進める文体には脱帽。
日本語、というよりやまとことばの意味を読み込み、哲学的意味を吹き込む。しかし、それだけで新しい哲学を組み上げられているのではなく、西洋の思想の写しになっているような気もする。だが、それでも、やまとことばが哲学的意味を持つ言葉にするという営みに価値はあろう。
ごつごつした訳語を持込み言葉の秩序を壊すのではなく、肌理細やかに日本語に寄り添って哲学する。そうでもしないと、やまとことばは飲み込まれ、増殖する訳語に日本語自体が潰れてしまうという危機感があったのだろう。
しかしながら、それを誰か継承していないのか。彼の語彙を使ってさらに新たな世界を切り広げられないのか。そうしないと、ある種二番煎じである限り、やまとことばごと彼の言葉は埋没してしまう。単なるお話にすぎなくなってしまう。
まあそれはおいといて、何かを補給するために坂部恵の本はまた読みたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年9月28日
- 読了日 : 2012年9月27日
- 本棚登録日 : 2012年9月28日
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