カラフル

著者 :
  • 集英社 (2024年2月26日発売)
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本棚登録 : 231
感想 : 33
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Amazonの紹介より
高校入学式の朝、荒谷伊澄は駅のホームでひったくり犯を捕まえた。その際に、犯人の前に出て足止めをしようとしたのが、車椅子に乗った少女だった。
その後の事情聴取で判明したのだが、渡辺六花というその少女も、伊澄と同じ高校の新入生だった。
弁が立ち気の強い六花に、伊澄はヤな女だな、と感じたのだが……?夢を追い続けられなくなった少年と少女の挫折と再生の恋物語!



突然の出会いから始まり、何回も会うことで恋が芽生えるといった王道の展開を想像していたのですが、甘く見ていました。
車椅子がゆえの疎外感やそれぞれの立場から思う「普通」、それによる苦悩など、考えさせられる事が多くありました。

自分がその現場にいたとしたら?
周囲はどうサポートすればいいのか?
双方の正直な意見が飛び交うのですが、辛い気持ちになりました。頭ではわかっているけれども、いざ目の前で起きた時、自分だったらと思うと、戸惑ってしまいます。

自分では良いことをしていると思っても、相手はもしかしたら不快な気持ちになるかもしれません。

なあなあで終わらせず、真剣に高校生同士で車椅子について向き合っている描写が印象深く、ピリッとした空気感でしたが、とても読みごたえがありました。

車椅子問題だけでなく、伊澄の苦悩も読みごたえがありました。
ケガを機に打ち込んでいた陸上に魅力を失くし、六花と出会うことで、新たな活力を見つけます。

伊澄のまっすぐさ、それに巻き込まれる六花のなんともいえない関係性が微笑ましかったです。
周りの登場人物も魅力的で、六花との交流を見ていると、仲間って良いなと感じさせてくれます。

六花は六花で、なるべく迷惑をかけないよう、一人で頑張ろうとするのですが、その頑張りようを見ていると、もう少し周りに迷惑をかけてもよいと思ってしまいます。

ただ、同級生や学校など初めてづくしの事柄に戸惑う描写を読んでいると、なかなか上手くはいかないなと思ってしまいます。
このケースだったらどうするのか?内内で考えるのではなく、同様のケースに遭遇したとき、他の地域ではどう対応したのか?色んなアンテナを張ることも大切だなと思いました。

真剣な場面もありましたが、恋の発展⁉も注目な点であり、今後どんな展開になっていくのか楽しみです。
「車椅子」について、知らなかったこともあって、勉強になりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2024年3月
感想投稿日 : 2024年3月20日
読了日 : 2024年3月15日
本棚登録日 : 2024年3月15日

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