アルヒのシンギュラリティ

著者 :
  • クラーケンラボ (2020年8月7日発売)
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感想 : 12
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「シンギュラリティ」とは、AIなどの技術が、自ら人間より賢い知能を生み出す事が可能になる時点を指す言葉と表記されていて、??と思いましたが、読み終わった後、あーなるほどと納得できました。

主人公は天才科学者の息子・アルヒ。人間とロボットと共存している街で、ある事がきっかけで、ロボットの憧れの地・ヘヴンの写真を撮る事に。しかし、そこに行くまでにはたくさんの試練が・・・。

物語は、前編と後編+αで構成されています。後編は前編の8年後が描かれています。
世界観としては、昔子供の頃「ドラえもん」や「鉄腕アトム」で見た未来都市と似たようなイメージがあって、なんとなく懐かしさがこみあげてきました。特に「鉄腕アトム」がぴったりかなと思いました。
ロボットとの共存、仲間との出会いや別れ、裏切りなどふんだんに盛り込まれていて、アニメを見ている感覚がありました。

河邉さんの作品は初めてでしたが、言葉の使い方が優しい印象がありました。WEAVERの作詞家としても活躍されているという事で、所々、短い言葉で想像力を掻き立てる部分がありました。それは歌詞を書くならではの特徴なのかなと思いました。この文章は歌詞にも使っていそうと思うところもあり、巧みに言葉を使っていて、凄いなと思いました。

優しい言葉ばかりで、子供にも読みやすいので、おすすめかなと思いました。孤独ならではの悩みや仲間がいるという幸せなど子供だけでなく大人でも通じるものがあり、考え深いものがありました。また、冒険や戦いなど想像を掻き立てる要素もあって、色々楽しめました。

少年の様々な運命に翻弄されながらも、ひたむきに生きる姿、最後に行った行動には感動を誘いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2020年8月
感想投稿日 : 2020年8月31日
読了日 : 2020年8月31日
本棚登録日 : 2020年8月30日

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