第66回(2020年)青少年読書感想文全国コンクール 小学校高学年の部 課題図書。
表紙画・挿画が、イラストレーターのまめふくさんなので、今さらだが読みたくなった。
イタリアの児童文学。
民話以外で読むのは初めて。
5歳で視力を失ったが、そのことにより得たもの(鍛えられた鋭敏な聴覚や嗅覚、洞察力)に注力し、頑固なまでに自分の力で生きようとする14歳の少年ルーチョと、学校では自分をうまく出せずに孤独だったやはり14歳の少女キアーラがアルプスの山小屋で出会う。
家族にもどうすることも出来なかった、2人の心の奥にあるわだかまりが、短いけれど濃密な時間を共に過ごすことで、解かれていく。
余談だが、ルーチョって英語のルートのことかな?
キアーラは、確か輝きだったと思う。
名前も本来の2人の姿を表しているようだ。
人間は目からの情報に頼り過ぎなのだろうなぁ。
ルーチョは5歳まで視力があったので、その頃の記憶から映像への変換能力も高い。そして、聴覚、嗅覚、触覚といった感覚が研ぎ澄まされていて、いわゆる健常者よりも、多くの情報を感じとっているようにみえる。
同じ世界にいても、受け取る情報が違う。
それは悪いことばかりではない、と思える。
そう思えるのは、主人公がまだ幼く、柔らかい心の時に視力を失ったため、変化した世界を受け入れられたから…?
実は、ここ数年聴力が落ちて中等度難聴者になってしまった自分は、更年期も相まってかなり後ろ向きな気持ちなのだ。
こんな風に、考えを変えられたらなぁ…。
イタリアアルプスの木々の緑、澄みきった空気、美味しいパニーノ!
こんな自然の中で少しでも過ごせたら、体の中の毒素も後ろ向きな自分も捨てられそう。
2021.6.26
- 感想投稿日 : 2021年6月26日
- 読了日 : 2021年6月26日
- 本棚登録日 : 2021年6月26日
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