商店街再生の罠:売りたいモノから、顧客がしたいコトへ (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房 (2013年8月7日発売)
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感想 : 24
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前作から引き続き、著者の作品を読んでみました。
今回は商店街再生として、全国で成功例と言われるものを検証し、本当に再生につながっているのか、良い事例、悪い事例を紹介しつつ、新たな方向性を提案しています。

前作同様、具体的な商店街名を出し、施策を紹介しているため、具体的でイメージがしやすいものでした。

少子高齢化により、モデル世帯が変化し、単身世帯や高齢者世帯が増えることも踏まえ、商店街再生を単なる観光地化にするのではなく、地元市民を顧客とし、リピート客を創ることを再生の目的とし、交流の視点で再生を図るというのは、著者の主張として一貫しています。
事例の模倣はよく行ってしまいがちではありますが、上辺だけでない施策は本質をしっかり見極め、参考にすることは大切です。
この方向性を意識しつつ、地元の商店街にはどのような施策が必要かをしっかり議論する必要があります。

本書には、行政に対する批判もあります。従来に施策に対する批判はあるとして、公共交通や庁舎内食堂での昼食の批判もありました。理解できる面もあるとして、著者の言う「利用者が必要と願う商店街」の再生と矛盾する気もするので、どうあるべきかは悩むところ。昼食に関しては個別事情もあるので、完全に納得というところまで落とし込めませんでした。


<この本から得られた気づきとアクション>
・著者の言う方向性は理に適ったものである。ただし、地域特性には考慮する必要
・ターゲットの明確化は必要。交流が必要な顧客とは?交流よりも安く購入できればいいと考える人は?地元なのか、少し離れたところが好む人も?落ち着いて買い物したいか、少し混雑した場で買い物したい?それぞれどれくらいの割合いるのか?
・顧客によって「顧客がしたいコト」は異なるはず。では、商店街はどこに応えるべき?

<目次>
第1章 レトロ商店街の罠
第2章 キャラクター商店街の罠
第3章 B級グルメ商店街の罠
第4章 商店街を利用しない公務員
第5章 意欲が低い商店主
第6章 再生戦略1 「シェア」で、雇用・起業を創出
第7章 再生戦略2 「地域経済循環率」を高めて、第一次産業と共生
第8章 再生戦略3 趣味を媒介に「地域コミュニティ」を育成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年7月11日
読了日 : 2015年7月8日
本棚登録日 : 2015年6月30日

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