未来IT図解 これからのAIビジネス

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  • エムディエヌコーポレーション (2018年10月30日発売)
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AIビジネスというタイトルだが、個人的にはスキル習得に対する
考え方や、未来像の議論が役に立った。

■求められる3つのスキル
産業構造審議会によると、以下の3つのスキルセットが求められている。
すべてのビジネスパーソンに3つのスキルセットを要求しているわけ
ではないが、これらを身に付けている人材は将来にわたって引く手
あまたである。
・ビジネス力:
 課題背景を理解したうえで、ビジネス課題を整理し、解決する
・データサイエンス:
 情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の知恵を理解し、
 使う力
・データエンジニアリング:
 データサイエンスを意味のある形に使えるようにし、
 実装・運用できるようにする力

IPAのITSS+では、セキュリティ領域、データサイエンス領域、
IoTソリューション領域、アジャイル領域を2017年に追加した。

■ハイプ・サイクル
毎年夏にGartnerが発表する。アメリカでどのような最新技術が注目されているのかが一目瞭然。
 黎明期(注目度が一気に上がる)
→過度な期待のピーク
→幻滅期(様々な理由から効果が出せない)
→啓蒙活動期(実用に達した技術がビジネスで採用され始める)
→生産性の安定期(普及)

ハイプ・サイクルから分かること:
・画期的な新技術の発表でも過度に期待せず、ハイプ・サイクルの
 ようなイメージで受け入れるとよい。
・どれか1つの技術をマスターしても、何年もその技術が使えるわけ
 ではない。技術の進化速度への追従が求められる。

製品開発との関係:
リスク低減のため、ハイプ・サイクルで啓蒙活動期や安定期に入った
技術を製品に用いるのが本来のエンジニアリングである。しかし、
リスクを恐れずに新技術を駆使するベンチャー企業に対抗するためには、
情報が乏しくても新技術を調査し、製品開発に急いで利用しなければ
ならなくなった。次々に出現する新技術を追いかけて習得し、リスクの
高い製品開発をせざるを得なくなった。

■世界や日本が目指す未来
・SDGs
 国連が掲げる、2016年~2030年の15年間で達成するべき17の目標。
 数値目標と定期モニタリングにより、取り組みに実行性を持たせている。
・Society 5.0
 IoT, ロボット、AI, ビッグデータなどの先端技術を、あらゆる
 産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立
 することを目指す。
 フィジカル空間にあるセンサーとIoTを通じて、あらゆる情報が
 サイバー空間へ集積し、AIがこのビッグデータを解析、高い付加
 価値を付けて現実空間にフィードバックする。

■インフラ企業のAI活用
・東京電力フュエル&パワー
 火力発電所運営の最適化モデルの実証実験結果を発表した。ボイラーに空気や石炭の粉末をふき込む装置の角度を、従来は運転員が経験に基づいて調整していた。これを機械学習させたことで発電効率が高まり、排ガスの抑制や燃料の使用量削減を実現できた。

■再現率と適合率
再現率=AIの正答/正解(見逃さなかった割合)
適合率=AIの正答/AIの回答(誤答がない割合)
・病気の発見など見逃しが許されない場合は、再現率重視。
 誤答があっても人間が最終判断すればよい。
・スパムメール判断など、誤答が許されない場合は、適合率重視。
 AIの回答を人間が全数判断したくない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 技術動向
感想投稿日 : 2019年8月7日
読了日 : 2019年8月4日
本棚登録日 : 2019年2月13日

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