<哀>
僕は落語は好きだけれど,それでも年に二三回偶然に見るTVの「笑点」止まりの事だった.でもこの本のおかげで何処かの寄席へ出かけてみたくなった.僕の住む尾張地方なら大須演芸場かな.でも実は大阪天満宮境内に「天満天神繁昌亭」(なぜかこの本では「南條亭」になっている...)が有る事は,数年前に音楽関係の目的で南森町/天満宮へ行った時に見知っていた.なのでこの『甘夏とオリオン』の物語は話ののっけからぐっとのめり込んで行けました.大変面白かった,皆様おすすめでっせ!
著者の増山実.僕の音楽方面大ファンである金森幸介将軍様がFacebookに書いていた記事で,前作『波の上のキネマ』を知って読んだ時から思っていたけれど,文章に独特のなんとも云えない哀愁がある.哀愁とは?と調べると「(独特の)もの悲しさ」だそうな.そう”独特”なのである.僕はこの独特の物悲しさがどうやら凄く相に合うらしい. お酒を飲みながらではあるが,この本を読んでいると涙が ぽろぽろ ぽろぽろ と出てくる.なんだろうこの増山実の作品と僕の相性は.
それで本の後付で増山実の生まれ年を調べると,僕と同学年だということがわかって,ああそういう事かと思ったのだった.世代ごとに持っている想いというものは存外貴重で侮れないモノなのだ.
(増山実さん.すんません,これだけ書かせてください.物語終盤に記述の有るバイクのアクセルは「踏む」のではなくて「回す」のです.そうです,バイクのアクセルは右手のハンドルについているのですから.でもこう書いていて,そんなバイクに一度でも乗ったことがある人なら誰だって知ってることを間違うだろうか.しばらくウーンと考えて,でもやっぱり 間違っているので,と思って思い切ってこの文章を書いてます. 尾張守料簡丸 m(_~_)m(すまぬw))
- 感想投稿日 : 2020年6月3日
- 読了日 : 2020年6月3日
- 本棚登録日 : 2020年6月3日
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