小説・吉田拓郎 いつも見ていた広島 (小学館文庫 た 12-1)

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  • 小学館 (2009年6月5日発売)
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この小説は、1965年から1968年までの広島での吉田拓郎を描いているものである。その間、拓郎はダウンタウンズというバンドの中心メンバーとして主に広島を拠点に活躍していた。拓郎の生まれは、1946年のことなので、おおよそ拓郎19歳から22歳頃の話である。
吉田拓郎のデビューアルバム「青春の詩」の発売は1970年11月。最初のヒット曲である「結婚しようよ」は1972年1月の発売なので、小説は拓郎がメジャーになる前の時期を扱っている。

吉田拓郎を初めて聞いたのは、中学校の時だった。
シングルでの「旅の宿」と同時期に発売されたアルバム「元気です。」が、初めて買った吉田拓郎のアルバムだった。「元気です。」は1972年7月の発売なので、今から50年前のことだ。以降、濃淡はあるが、吉田拓郎はずっと聞いていて、今でも自分のiPhoneには、拓郎のアルバムが何枚か入っている。
そういう意味では、吉田拓郎は、私が最もよく聞いた歌い手の1人だ。

デビュー後の吉田拓郎の生き方は、何となく知っているが、デビュー前にどのような活動をしていたのかは全く知らなかった。本書は、「"小説"吉田拓郎」という題名なので、本書に書かれていることのどの部分がフィクションなのか、どの部分が実際にあった話なのかは分からないが、それでも、実際にあったことをベースに書かれているものだと思う。自分が最もよく聞いている歌い手のデビュー前のストーリーなので、私にとってはとても面白い小説であった。
この後の吉田拓郎のことも知りたいが、小説としては、この本の続編は書かれていないようである。
しかし、筆者の田家秀樹は、吉田拓郎に関してのノンフィクションを何冊か書いているようなので、そちらを読んでみることにしたい。
吉田拓郎ファンにはお薦めの1冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年5月13日
読了日 : 2022年5月13日
本棚登録日 : 2022年5月11日

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