駆け出し探偵フランシス・ベアードの冒険 (シャーロック・ホームズの姉妹たち)

  • 国書刊行会 (2016年12月10日発売)
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『駆け出し探偵フランシス・ベアードの冒険』(Miss Frances Baird, Detective)を読んでみた。国書刊行会がだしている「シャーロック・ホームズの姉妹たち」のシリーズである。一九〇六年に発表された小説で、舞台は1893年のニューヨーク、シカゴ万博と同じ年で、「フロンティアの消滅」のあと、いわゆる「西部劇」がすたれて、都会派の小説がでてくるころである。
 ミス・ベアードは「花嫁学校もでて、二三年外国にも行った」かわいい上流階級の娘なんだが、通常のコースをはずれて、なぜか探偵社で雇われている。失敗つづきで、ボスからは解雇されそうだ。ある結婚式で贈られるダイヤモンドの警備にあたるのだけど、そこで惨劇が起きる。
 けっこう、むちゃくちゃな話で、ミス・ベアードは容疑者と恋に落ちてしまい、「女の直感」で無実を確信し、周囲の助けも借りずに独自に調査をはじめてしまう。いけ好かない男性の同僚からは証拠を隠すし、容疑者の恋人を心のなかで、ディスりまくり、容疑者が無罪になったら、その恋人と結婚するだろうと嫉妬したりする。まあ、ホームズとかポアロみたいな名探偵とはほど遠いけど、愛すべき主人公である。
 アメリカの女性探偵は実在して、1856年にピンカートン探偵社(ホームズにもでてくる)に雇われている。ケイト・ウォーンという女性で、寡婦だった。1861年にリンカーン暗殺計画を阻止しており、北軍のスパイもしていたようだ。この女性は『荒野のピンカートン探偵社』というドラマにもでてくる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外ミステリー
感想投稿日 : 2017年2月23日
読了日 : 2017年2月23日
本棚登録日 : 2017年2月23日

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