超高齢化社会といわれる現代日本。これは多死社会になったともいえる。人間である以上「死」は免れないものであり、平等にいつかは訪れる。若いときにははるか先のことのように思えても、歳と共にそれは身近なものになり、自分の終末は、また家族の終末はいかなるものかを考えることも多々ある。今まで社会全体が目を背けていたとも言えることだが、そろそろ真剣に考えなくてはならない時期なのかもしれない。
この本は2年前に書かれたものだが、その短い2年の間でも社会全体の死生観、エンディングに関する考え方が変わってきているように思う。長尾氏はこの本で無理な延命をせず、クオリティオブライフを大切に、出来れば自宅での終末を勧める訪問医である。昔は自宅で終末を迎えることが多かったが、高度医療の発達と共にいつしか病院で迎えることが当たり前になり、逆にそれが無理は延命治療にもつながっている部分もある。長尾氏はそれをもう一度、自然な安らかな最期を迎えるような医療体制にもっていきたいとしている医師である。
いろいろ知らなかったこと、この2年で割と当たり前に受け入れられるようになっていること等勉強になった。少し前までのように病気になれば医師に治療を「丸投げ」するような患者ではいけないということも感じる。医師のインフォームドコンセントを通し、アドバイスや自身で知識を得、自分の体の事は自分で最終的に決断しなくてはならないのだろう。
少なくとも自分が終末期どうしてほしいのかは健康なうちに明らかにしておかなくてはならないことだと感じた。
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- 感想投稿日 : 2014年5月23日
- 読了日 : 2014年5月23日
- 本棚登録日 : 2014年5月23日
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