日高さんにスッ転げ落ちるきっかけになった思い出深い作品。何はなくともゲイ×ノンケという私的に大好物の組み合わせ。派手なエピソードはこれといってない淡々とした地味めの話ではあるんだけど、シャープでスタイリッシュな絵柄と、ここぞという場面でのキャラの表情が絶妙かつ秀逸でとても雰囲気のある、しっとり大人のマイノリティ・ラブ。セリフやモノローグもシンプルなぶん、行間を読ませる構成が心ニクイ…! BLをニュアンスで萌えられる方には全力でおすすめ。
はー、それにしてもほんと日高さんの絵が好みすぎる! 個性的なキャラクターはもちろん、ちょっとした小物や背景、果ては服のシワにいたるまでじっくりとっくり眺めたくなる、まことに稀有な絵師さん。地味でも丁寧なストーリー展開も好み。実際はヘタレ属性な年下攻の榊さん(しかしなまじ役職つきのためナチュラルに居丈高というか何気に上から目線なので正直まったく年下には見えない)が、ゲイであるマイノリティゆえにとても繊細で潔癖で頑なで、だけどそんな自分を隠すために表向きはツンツンとんがってるGAPがまたいい。そういう男が天然無自覚誘い受な岡田さんに一目惚れして翻弄されて、過去のトラウマから『ノンケ相手じゃどうせ上手くいきっこない』と斜に構えながらも、結局は逃れられない恋の深みにはまってゆき懊悩する姿に胸キュン必至! 無自覚フェロモン全開で榊さんを翻弄する岡田さんの天然誘い受っぷりは小悪魔を通り越して鬼だと思ったw
読み手の好み如何によってはそっけない話だなーと肩透かしを食らうかもしれませんが、もし何か琴線に触れるものがあったなら何度でも読み返したくなる秀作。事実、私はこのコミックスをもう何度リピったか知れない…。
- 感想投稿日 : 2010年3月12日
- 読了日 : 2010年3月12日
- 本棚登録日 : 2010年3月12日
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