シティポップのお勉強、第一弾。
ド素人には、この本が一番わかりやすかった。入門編。小難しくなく、今でこそ音楽評論家である萩原少年が、若き日に鳥肌が立つほど高揚した音楽体験を、熱さめやらぬ口調で教えてくれる。知らない名前ばかりなので、ノートにメモしながら、音源を確認しながら読み進めていくうちに、同じような名前が何度も出てくることに気づく。
細野晴臣、大滝詠一らはっぴいえんど、からのティンパン系への流れ、センセーショナルなユーミンの登場。バックコーラスをつとめていた山下達郎や矢野顕子らシュガーベイブ…。
どれどれと聞いてみると、これがまた、かっこいい。
今聞いても全く古びない、歌謡曲でもフォークでもない、ロックの要素をふんだんに取り入れたポップミュージック。シティには、やっぱりシティの良さがある。時代と共に変化してきたトーキョーの街の文化を、もっと知りたいと思った。
また、作者がこれらの音楽が大好きなのが伝わってくるのが良い。気取った評論や下世話な裏話よりも、大好きな音楽のどこが良くてどこがカッコイイか、目をキラキラさせて語っている人の話は、聞いていておもしろい。
渋谷にある名曲喫茶ライオンの隣りにあるロック喫茶が、そんな音楽青年たちの青春のたまり場だったとは。
いつかいつか、誰かに連れて行ってもらいたい。
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はっぴいえんどが本盤で作り上げた“風街”の風景とは、そういったものだ。ある種の諦観のもと、渦中にあることを拒絶する心の在り方と、高度経済成長の掛け声のもと、もう現実には失われてしまったノスタルジックな東京の情景。この、屈折に満ちたアイロニカルな穏やかさが、“シラケ”気分蔓延以降大きく変わろうとしていた時代の気分の鮮やかさに先取りしていた。(風街ろまん)
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この時期注目を集めるようになった新しい日本のポップ・ミュージックに関しては、送り手と受け手両者が、確実に何か変わりつつある“場”の空気を共有しているという実感があった。前述したような“肌触り”をベースに、自分の言葉を自分のメロディに乗せて表現する日本人アーティストたち。彼らは“場”を共有していた聞き手たちと微妙な目配せを交わしながら、あの時代ならではの誤解や屈折すら味方につけ、少しずつではあったが、マジカルな名盤をひとつ、またひとつと生み出していったのだ。
- 感想投稿日 : 2017年11月27日
- 読了日 : 2017年11月27日
- 本棚登録日 : 2017年11月27日
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