新書なのでいささかサイズは小さいのだが、それでも掲載されて
いる写真には圧倒される。
光の反射によって色を変える砂漠、地平線の彼方に登る太陽が
空に作るグラデーションをバックにした隊商のシルエット、
砂の上に残る無数のラクダの足跡、風によって姿を変える砂丘、
そして満天の夜空。
美しい風景と裏腹に環境は過酷だ。朝晩と昼間の寒暖差の激しさ。
昼間の灼熱の太陽と朝晩の凍えるほどの寒さ。脚が沈む混むほど
の砂砂漠と、石や岩の転がる岩石砂漠。
アフリカ・サハラ砂漠をラクダのキャラバンが行く。言葉だけなら
ロマンティックで想像を掻き立てるが、実際に体験しようとなった
ら相当の覚悟がるだろう。
それを成し遂げた記録が本書だ。それも30年位以上に渡る著者の
夢だった。板状にした岩塩を運ぶ隊商と共に、マリ共和国のトンブク
トゥからサハラ砂漠奥地のタウデニ岩塩鉱山を往復する1500Kmの
旅だ。
旅の記録の合間には塩が金と同じ価値を持っていた頃の話や、岩塩鉱山
の歴史の話などもあり、文章でも楽しめる。
ただ、現在、著者と同じ旅をしようとしても肝心のタウデニは内戦や
テロ組織の活動などで外国人の立ち入りは出来ないし、日本の外務省
はマリ共和国に対して退避勧告を出しているほどの超危険地域となって
しまっているのが残念。
著者も書いているが、いつかまた、砂漠のロマンに誘われて外国人が
訪れられるようになる日が来るといいのにね。
尚、ラクダは水を脂肪にすることが出来るらしい。そうか。私はラクダ
だったのか…。
- 感想投稿日 : 2017年11月18日
- 読了日 : 2017年11月18日
- 本棚登録日 : 2017年11月18日
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