イスラームの歴史 - 1400年の軌跡 (中公新書 2453)

  • 中央公論新社 (2017年9月20日発売)
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感想 : 21

ムハンマドが理想としたのは社会的弱者に対して思いやりのある共同体秩序だった。共同体内部での争いを良しとしなかったため、ムスリムたちの目線は必然的に外部に向かい、イスラームは帝国を作り上げる。
スンナ派やシーア派、さらに踏み込んで各派の神秘主義思想などは高校世界史からだいぶ踏み込んでいて難しかったが、思想の違いが抑圧や対立を生むことがよく分かった。個人的には最後の原理主義のところが面白かった。原理主義者たちは始めは西洋の近代文明を肯定的に捉える。イスラム文化との調和を図るものの、そこには限界があり、イスラム教が古来理想としてきた秩序とは乖離した行動をとるようになる。これは自分たちの宗教、文化が消滅してしまうことに対する必死の抵抗だという。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年8月30日
読了日 : 2022年8月30日
本棚登録日 : 2022年8月30日

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