介護現場は、なぜ辛いのか: 特養老人ホームの終わらない日常 (新潮文庫 も 37-1)

著者 :
  • 新潮社 (2013年6月26日発売)
3.32
  • (3)
  • (13)
  • (10)
  • (1)
  • (4)
本棚登録 : 83
感想 : 14
5

ジャーナリストである著者が好奇心からヘルパー2級を取得し、中年初心者介護職員として特養ホームに勤務する、体験記。

糞尿処理、食事介助、お風呂介助 といった、汚れ仕事や力仕事、年中休みなしの介護作業、事故や怪我にも最新の注意を払い、行事や記録や事務作業にも追われる。
認知症や痴呆が進んだ入所者は何をするか分からないし、人では常に足りない。夜勤や残業で疲れが溜まった職員はストレスや過労で職場環境も悪化… っていいことない仕事にしか見えない。しかも薄給。

最近介護施設で夜間に職員による暴行、殺傷事件が起こったが、いくつもの原因があるような気がしてならない。
介護虐待が起こる背景には、過重な勤務、スタッフの老人や痴呆に関する知識の欠如、職員体制の法的不備など。

保育士などもそうだが、人相手の気も使うし体力も使う仕事に対しての評価が低すぎるのではないだろうか。これでは誇りをもって長く勤めてスキルを上げていこうという前に辞められてしまうだろう。普通は人手不足なら給与水準が上がるはずだが、福祉予算の制度上上がりにくい仕組みになっている。国がなんとかしないと介護現場は苦しくなる一方だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年12月9日
読了日 : 2019年12月9日
本棚登録日 : 2019年12月9日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする