公共R不動産のプロジェクトスタディ ;公民連携のしくみとデザイン

  • 学芸出版社 (2018年6月8日発売)
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感想 : 14

何度も読むべき本。自分がまちづくりの仕事に携わるにあたっていつか関わりたい・活かしたい事例がたくさん載っている。

この本は主に公共の(実質)遊休不動産を民間の手によってリノベーションすることの効用と、そのノウハウを様々な事例を基に紹介している。

まず、公共空間のリノベーションは三つの変革によって実現する。
①空間の変革:これは物理的な公共空間の変革で、今ある遊休公共空間の「新しい機能の組み合わせ」「用途変更」「使えなかった空間の活用」によってもたらされる。
まとめると一から新しい空間を作るのではなく、今ある空間の使い方を変えるということになる。
②制度の変革:これは主に行政の話だが、国が不動産や都市計画に関する制度・法律を変えることで、空間利用のスキームが変わり、今までできなかったアプローチができるようなるということである。例えば、2017年に都市公園法が改正されて、2%だった公園の建ぺい率が12%に拡大された。これによって公園に屋根のある収益物件を作れるようになり、「自立して経営できる公共空間」が作れるようになる。このように「公共空間の規制緩和」によって、今までできなかったような空間利用ができるようになっている時代にきている。
③組織の変革:公共空間のリノベである限り、「行政と民間がタッグを組んで」事業を進めていく必要があり、いかに文化の違う官民がスムーズかつ効果的にパートナシップを構築できるかがカギとなる。この本では組織の変革を三つのキーワードに分けている。すなわち「公共を担う新しい民間組織」「カウンターパートナーとしての行政の体制」「新しい契約のカタチ」である。

また、公共リノベのプロセスも書いてあるが、ポイントなのは「一度短期間で試してみる」ということである。
ヒアリングやサウンディング調査を行いニーズを調べる⇒社会実験で風景を一時的に作り、また調査を行う。。。そのサイクルの中でブラッシュアップしていき、最終的に適切な事業者を選定して事業化する。。。という流れになる。

また、コラムの中では公共リノベに関する様々な手法を事例とともに紹介しており、まちづくりの仕事を行う身としては非常に参考になる項目も多かった。

この本を読んでいるとドキドキする自分がいることに気が付く。本当にやりたいまちづくりの一つのカタチに触れられた気がした。
正直会社の採用情報見ました。いつかこういう事業に関わる仕事に携わりたいです。民間側か、それとも仲介するのか…今のデベロッパーの仕事に飽きて嫌気がさしたとき、この事業・仕事に引き込まれていくかもしれません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年11月3日
読了日 : 2019年3月13日
本棚登録日 : 2018年11月3日

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