悪魔のマーケティング タバコ産業が語った真実

制作 : ASH 
  • 日経BP (2005年1月20日発売)
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チェック項目10箇所。通常、人間が煙を吸って気持ちよくなることはありません、焚き火やどんど焼きの煙でむせた経験はだれにでもあるはずです、ところが、ことタバコ(それから大麻も)の煙となると、好んで吸うひとがたくさんいます、なぜでしょうか、それはタバコや大麻の煙のなかには人間に快感をもたらす薬物が含まれているからです。喫煙者は「好きでタバコを吸っている」つもりが、いつのまにか「タバコなしでは生きていけない」状態に陥ります、これはタバコを製造販売するタバコ産業にとって実に都合がよい、なぜならば、タバコに強い依存性があるせいで、喫煙者は毎日タバコを買って吸い続けずにはいられません、結果、タバコ産業には苦もなく莫大な利益がもたらされます。喫煙者はいつのまにかニコチンの依存性に支配され、発癌物質であるタールの吸入を余儀なくされます、「喫煙の自由」「喫煙の権利」という言葉がありますが、タバコの依存性を考えるとこの表現は正確ではありません、喫煙者の大半は本人の意志ではなくニコチンの依存性のせいで、タバコを「吸わされている」のですから。欧米のタバコ産業は、これまで驚くほど計画的に、しかも組織ぐるみで”ウソ”をついてきました、それが明らかになったのは、訴訟や内部告発によって、1950年代以降から現在に至る数千ものタバコ産業の内部文書が公になったからです。「人がタバコを吸う目的は、ニコチンによる薬理学的作用を得るためである。以前、R&Dの担当者が説明したとおり、われわれの仕事はタバコを売ることではなく、タバコの煙を売ることなのだ。タバコは煙を発生し、その煙はニコチンを人体に供給する道具となる。そしてニコチンが人間に快感をもたらしてくれるのだ」(フィリップモリス 1969年)。「なぜ、ひとびとはタバコを吸うのか? リラックスしたいのか、タバコの味を楽しみたいのか。あるいは暇つぶしや手持ちぶさたを解消するためか……喫煙者がタバコをやめられない何よりも大きな理由は、タバコをやめると不快感に襲われるからである」(フィリップモリス 1984年)。実際には、大人向けの宣伝活動が確実に子供やティーンエイジャーの心を捉えているのです、なぜなら、大人向けの広告を見て子供たちは、「タバコを吸うこと=大人になること」と考えるようになるからです、そして喫煙したいと熱望し、喫煙の誘惑にかられてしまうのです。「若者が喫煙に求めるのは、『味』や『満足感』よりもむしろ、(タバコを吸っていることで)一人前の大人として周囲に認められることである。そんな若者たちが、喫煙でニコチン依存症に陥るまで、『タバコの味』というのはたいした問題ではないのだ」(インペリアルタバコ 1977年)。1977年10月18日付けの「プロジェクト16」報告書には、「10代の若者がタバコを吸い始めるきっかけの最も大きな要因は、『仲間意識』だ。11歳から13歳ごろにかけて、すでにタバコを吸っている子供がまだ吸っていない子供に対し、タバコを吸えとプレッシャーをかけてけしかけるケースが多い」と述べられています。経済成長とともに喫煙人口は増加します、タバコ産業はここに目をつけます、かつて日本で起こった現象、つまり喫煙の広がりが経済発展の象徴であるかのような共同幻想が多くの国で生まれているのです、その膨大な健康被害に対して、どのような形で集団訴訟が行なわれるかもわかりません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 体調管理
感想投稿日 : 2013年6月16日
読了日 : 2013年6月11日
本棚登録日 : 2013年6月11日

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