著者も述べていますが、年々戦争体験者の話を直に聞く機会は失われて行くばかりです。
本書も刊行から8年ほど経過していますので、証言を寄せてくださった方々も、もう他界されているかもしれません。
特攻は美化できるものではなく、人の命を駒のように扱った上層部の誤った判断が招いた悲劇です。
米国との圧倒的な国力の差を目の当たりにしていた現場の兵士や指揮官は、作戦の現実味のなさに気付きつつも『名誉ある死』を信じ込ませられ、海に散っていきます。
現場の人間の意見は聞かず、最前線の様子を知らない人間が立てた机上の空論がトップダウンで降りてくる。今も日本の体制って変わってないのでしょうか…。
少し話はそれましたが、本書は歴史の隙間に埋もれてしまっていた水上特攻の事実を記録した貴重な資料です。
これも上層部の都合で、闇に葬り去られるはずだった事実だと思いますが、証言してくださる方々と著者のおかげで日の目を見ることができました。
本当に感謝です。
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- 感想投稿日 : 2023年8月6日
- 読了日 : 2023年8月6日
- 本棚登録日 : 2023年8月6日
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