閉ざされた扉をこじ開ける 排除と貧困に抗うソーシャルアクション (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2020年3月13日発売)
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感想 : 10
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生活保護というとどうしてもネガティブなイメージをもってしまう。
それは、政治や行政がそのように扱っているからだろう。
訳あって働けない人は私の想像より多いのだろう。
そして、一見就労可能のように思える人でも、知的障害など何らかの事情で働けないこともあるんだと再認識した。
生活保護受給者=努力していない人という認識は、改めなければならない。
そして、行政の対応不足や認識不足も否めない。
小田原市の「保護なめんな」ジャンパーは大きくニュースになったけれど、これに似たようなことが各地で起きているのだろう。
身近で生活保護行政に携わっているからこそ見える負の部分があるのは分かるが、すべての受給者を目の敵にするのは間違っている。
また、「貧困ビジネス」というあくどい存在もある。
貧困者からお金を巻き上げるなんて、最低の行為だ。
しかし、ホームレスの人たちが生活保護を申請した際、福祉事務所は(貧困ビジネスといわれるような)民間の宿泊所を紹介するのが常になっている(p27)ようだ。
そのため、申請をしないという選択をするホームレスもいるようでとても歯がゆい。
自己責任が叫ばれる昨今。それが世の中の分断を生んだり、生きにくくする要因の一つでもある。
当事者だけの問題ではなく、同じ社会に生きる皆がもう少し寛容になるべきだと思う。
そして、可能なら困窮者の現状を改善するために何かしらの活動をするべきだ。
自分は大丈夫と思いがちだが、自分事として考えたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 福祉
感想投稿日 : 2021年12月2日
読了日 : 2021年11月24日
本棚登録日 : 2021年12月1日

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