[事実は小説よりも危なり]その全貌については知られていないけれど、泣く子も黙るという形容がピッタリとくるほど圧倒的な存在感を誇る、イスラエルの諜報機関「モサド」。彼らが手がけてきた数々の秘密オペレーションの成功、そして失敗を徹底的な調査を基にしてまとめた作品です。作家としても活躍するマイケル・バー・ゾウハーとニシム・ミシェルによる共著作品で本書はベストセラーとなりました。訳者はミステリー作品なども手がけている上野元美。原題は、『Mossad: The Greatest Missions of the Israeli Secret Service』。
スパイ小説顔負けの作戦の数々に驚かされること間違いなし。暗殺をも厭わない任務の数々に、読み終えた後に思わず「尋常じゃないな......」とつぶやいてしまうほど。他方、そのモサドを貫く倫理観(これは場外からイスラエルを眺める人間のもののそれとはまるっきり質が異なるものではないでしょうか)の淵源と強靭さを、本書後半のエチオピアからのユダヤ人救出エピソードに見ることができるように思います。
個人的に本書を読んでいて勉強になったのは、モサドという組織がどのように国家機構の中に位置付けられていて、政策決定プロセスと絡んでいるのかというところ。圧倒的な力を有する機関が人的・組織的にいかにコントロールされているのかという点は、組織運営という点でも参考になる点が多いのではないのかと思います。
〜だれかが殺しにくるのなら――立ちあがって、その男を先に殺せ〜
しかしよく調べたな☆5つ
- 感想投稿日 : 2015年8月19日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2015年8月19日
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